医療接遇の基本は「患者に寄り添い、ニーズに応えること」
医療機関の接遇については、サービス業をはじめ一般的な接遇と大きく違うことを認識しておく必要があります。
受診で来院する患者のなかには、緊張や不安な気持ちを抱えていて、「重い病気だったらどうしよう」などと、ネガティブに考えてしまいがちです。特に初診の場合、医師との対面は緊張した状態となっています。そこで、患者の張りつめた気持ちをほぐす試みをしてみましょう。
受付、検査、外来などにいるすべての医療スタッフは患者の目線に立って寄り添うことを意識して対応します。患者がどうして来院したのか、何を一番必要としているのかを常に考え、行動することが医療接遇の基本です。患者のニーズに応え、自分たちが持っている医療のすべてを提供するという姿勢を示せばいいのです。
とはいえ、医師や看護師が一人ひとりの患者に時間をかけて向き合うのには限界があります。そこで受付を担当する医事スタッフが、医師と患者との間の架け橋となる役割を担うようにします。来院時の患者への対応、立ち振る舞いが病院の印象を決めてしまい、その後の診療と医療機関の経営のそれぞれに影響を及ぼすからです。最近では患者対応のコンシェルジュを配置する医療機関もあります。
例えば、受付では「診察券と保険証をお願いします」と用件のみ伝えるのではなく、「恐れ入りますが、診察券と保険証のご提示をお願いします」など、丁寧な言葉をひと言添えると印象はよくなります。また、「何か困っていることはありませんか?」「座っているのがお辛いようでしたらお声かけください」といったように、患者の様子を見て声かけする気遣いや配慮も必要です。患者の味方であること、目の前にいる患者に対して自分ができることは何かと考え、行動すれば自然に応対ができるようになります。患者から聞き取った内容で診療に影響を与えるものは、即座に医師や看護師にフィードバックします。それによって医師と患者との心の距離がぐっと近くなります。