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医療事務

2024年4月から義務化 介護施設の「BCP(事業継続計画)」の策定とは?

公開日/2023.09.19 更新日/2024.07.22

前回(2021年度)の介護報酬改定で、国はすべての介護事業者に対して、自然災害や感染症、テロなどの緊急事態に備えた「BCP(事業継続計画)」を2023年度中に策定するよう義務づけました。今回は、まだ策定していない介護事業者に、策定のポイントを紹介します。

※この記事は2023年9月19日時点で公開されたアーカイブ記事となります。

利用者の命を守り、事業を継続していくためにも不可欠

2022年3月に公表されたNTTデータ経営研究所の調査によると、自然災害対策、感染症対策のいずれにおいても、7割以上の事業者が「まだBCPを策定していない」ことがわかっています。

表 自然災害BCPの策定状況

介護サービスの利用者の多くは、日常生活においてさまざまなサポートを必要としています。自然災害や感染症などの緊急事態により事業の継続ができず、介護サービスの提供が途絶えてしまうと、利用者の生活の安心・安全が脅かされ、生命にも支障をきたす恐れがあります。また、利用者の家族にも精神的な不安や肉体的・経済的な負担が重くのしかかります。そのため介護事業所は、被害を最小限にとどめ、利用者の命を守ることを優先しなければなりません。不測の事態に見舞われてもサービスを中断せず、もしサービスが中断してしまったとしても、できる限り速やかに復旧することが求められます。

緊急事態が発生した際には、介護施設のスタッフも長時間勤務や精神的なダメージを受けることが予測されます。スタッフの過重労働やメンタルヘルスへの対応、安全の確保も介護事業者の責務です。さらに、介護施設は福祉施設であることから、施設がもつ機能を活かして災害などの発生時に地域に貢献することも必要です。これらのことから、介護事業者はBCPを作成し、平時から事業継続のために備えておく必要があるのです。

BCP策定により緊急時もスムーズな運営が可能に

BCPを策定することの最も大きなメリットは、利用者やスタッフの安全を守り、事業所の被害を最小限に抑えることができることです。BCPによって緊急時にやらなければならないことが明確になり、それに沿って訓練をしておけば、利用者やスタッフの命を守ることができ、事業の継続にもつながります。これにより、経営面でもダメージを最小限にとどめることができます。さらに、緊急時にも継続してサービスを提供できれば、利用者の家族や地域からも信頼を得ることができるのです。

BCPの義務化に向けて、補助金や助成金を用意している自治体もあります。これらを利用すれば、策定や研修・訓練に必要な費用の負担を軽減できるでしょう。BCP対策に必要なコストで悩んでいる事業者は、自治体などの利用できる補助金や助成金がないか、確認してみましょう。また、事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業・小規模事業者は、特別減税や税制優遇も受けられます。これらによって経済的なメリットがもたらされ、事業の安定にもつながります。

BCP策定の際に重要な5つのポイント

①スムーズな情報共有・伝達と役割分担が肝心 災害発生時には、迅速な対応が求められます。平時から関係者の連絡先や連絡の流れを確認しておき、連絡がきたら誰が何をするのかを決めておけば、スムーズな対応が可能になります。

②感染者が発生した場合の対応を決めておく 感染者が発生した場合にも、介護施設では業務を継続しなければなりません。何をしなければならないか平時から整理しておき、しっかりシミュレーションしておきましょう。

③周囲と連携してスタッフを確保する 緊急時には、スタッフが足りなくなることも想定しておく必要があります。同じ系列の施設や他の法人と連携するなど、平時からスタッフ確保の方法を決めておくことも大切です。

④業務の優先順位を決めておく 緊急時にはいつもとは同じ手順で業務を行えないケースが考えられます。あらかじめ業務の優先順位を決めておけば、スタッフの不安や負担を軽減しつつ、スムーズに業務を進めることができます。

⑤有事に備えた研修や訓練が大切に あらゆる場面を想定してBCPを策定しても、緊急時に冷静に対応できるとは限りません。だからこそ、いざというときに迅速に行動できるように備えておく必要があるのです。定期的に研修や訓練を実施することで、計画に問題がないかを見直すことも必要になります。

(提供:株式会社日本医療企画)

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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