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クリニックのスタッフがすぐ辞める原因は?対策と職場環境改善のアイデアを解説

公開日/2024.10.22 更新日/2024.10.18

「クリニックのスタッフがすぐ辞めてしまう」「なかなかスタッフが定着しない」という問題を抱えているクリニック経営者さまに向けて、主な原因と離職を防ぐ対策を解説します。職場環境の改善アイデアも紹介しているので、クリニック経営の参考にしてください。

クリニックのスタッフがすぐ辞める7つの原因

厚生労働省が実施した令和3年雇用動向調査によると、医療・福祉業界全体の離職率は13.5 %です。産業全体の平均値13.9%を下回ってはいますが、サービス業や教育業などについで上から5番目に高い数字であり、決して低いとはいえません。

しかし、医療関係職種の入職超過率は0.0%であり、全産業の平均0.3%を下回っています。医療業界は、離職率が低くない上に採用の難易度が高い業界という特性があるため、離職防止の対策を講じる必要があります。

それでは、クリニックのスタッフが辞める理由はどこにあるのでしょうか。主な原因を7つに分けてご紹介します。

参照:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」

参照:厚生労働省「処遇改善(その1)」

仕事量が多い

クリニックでの仕事量が過剰であると、スタッフは疲弊しやすくなります。とくに、診療時間外の業務や休日出勤が求められる場合、スタッフの負担は非常に大きいです。

これが続くと、心身の健康を損なうリスクが高まり、結果的に離職を選ぶスタッフが増加します。仕事量の多さは、離職に直結する重要な要因です。

ワークライフバランスが悪い

ワークライフバランスがとれていない職場は、スタッフの離職率が高くなりやすい傾向です。長時間労働や休日出勤が常態化していると、プライベートな時間を持つことが難しくなり、ストレスが蓄積します。このような環境に陥っているクリニックは注意が必要です。

厚生労働省によると、必要な休暇をとりやすい職場環境の整備が、離職率低下に寄与と分かっています。そのため、クリニックの経営者や管理者は、スタッフのワークライフバランスを考慮し柔軟な勤務体制を導入するなどの対策が必要です。

参照:厚生労働省「ワーク・ライフ・バランス推進のための取組と 離職率の関係について」

職場の人間関係がうまくいっていない

職場の人間関係が悪いと、スタッフは働きにくさを感じて離職を考えます。とくに、スタッフとドクター間の関係や同僚とのコミュニケーションがうまくとれない場合、ストレスが溜まりやすくなります。人間関係の改善のためには、定期的なコミュニケーションの機会を設けましょう。

また、悩みや不満を相談できる環境を整えることも重要です。クリニックの経営者や管理者が、率先してスタッフの話を聞くように心がけましょう。

クレームが多い

患者さんからの評判が悪いクリニックは、スタッフのモチベーションにも悪影響をおよぼします。患者さんからのクレームや不満が多いと、スタッフは自分の仕事に対して不安や不満を感じやすいためです。結果的に、離職を考える原因になってしまいます。

クレームを未然に防ぐことはもちろん、クレームを受けたスタッフのメンタルケアも重要です。

設備が古い・システムが整っていない

古い設備や整っていないシステムは、スタッフの業務効率を低下させ、ストレスを増加させる要因となります。とくに、医療機器やITシステムが時代遅れである場合、日常業務がスムーズに進まない場合が多いです。患者さんによりよい医療を提供するために頑張っているスタッフは、このような環境では不満を抱きやすくなります。

給料が低い・福利厚生が充実していない

業務に対して給料が安かったり福利厚生が充実していなかったりするクリニックでは、スタッフのモチベーションが低下しやすくなります。とくに、他のクリニックと比較して待遇が悪い場合、スタッフはよりよい条件を求めて転職を考えることが多いです。

スタッフの満足度を高めるためには、給料や福利厚生の見直しを行いましょう。適切な給与体系や福利厚生を整えると、スタッフの離職率を低下させられます。

仕事にやりがいが感じられない

仕事をするうえで、やりがいは重要なポイントです。スタッフが仕事にやりがいを感じられないと、働く環境に不満を持ちやすくなります。とくに、日々の業務が単調である、または成果が見えにくい場合、スタッフはモチベーションを失いやすいです。

仕事にやりがいを感じられる環境を作るためには、スタッフが自分の役割や貢献度を実感できるような仕組みを整えましょう。たとえば、患者さんからの満足度が高いスタッフを表彰したり、担当している業務に応じて賞与をアップさせたりすると効果的です。

クリニックのスタッフが辞めるのを防ぐための対策6選

クリニックのスタッフが辞めるのを防ぐためには、「eNPS( Employee Net Promoter Score )」の値を意識して向上させることが重要です。eNPSとは、「親しい知人や友人にあなたの職場をどれくらい勧めたいか」を尋ね、推奨度を数値で算出したものを指します。

株式会社ビービットが2017年に実施した調査では、日本企業の平均スコアは-61.1%でした。このスコアを下回っているクリニックは、早急な改善が必要といえます。その場合はこれからご紹介する対策の実施をぜひご検討ください。

参照:株式会社ビービット「eNPSは何によって上がるのか ̶16業界eNPS調査結果」

スタッフの業務量を見直す

スタッフが過度な業務量に追われると、ストレスが溜まりやすくなり、離職につながりかねません。改善するためには、業務内容を細分化し、各スタッフに適切な仕事量を割り当てることが重要です。ひとりに対して業務が集中しないよう注意しましょう。

また、業務ボリュームの見直しに加え、時間帯・曜日ごとの適切な人員配置も必要です。クリニックが混む時間帯・曜日は、余裕を持って人員を確保してください。もし人手不足に陥っている場合は、業務の一部の外部委託を検討しましょう。

また、効率的な業務遂行をサポートするために、適切なツールやシステムの導入も有効です。

有給休暇をとりやすくする

有給休暇がとりにくい職場は、スタッフの疲労やストレスを増大させ、離職につながってしまいます。スタッフが気軽に休暇をとれるようにするためには、休暇取得の手続きを簡便にする対応が必要です。

また、有給休暇はスタッフの権利であることを理解しましょう。そのほか、クリニック全体で有給休暇の取得を推奨する文化を作り上げる取り組みも重要です。

人間関係の悩みを相談しやすい環境を作る

人間関係の悩みは、スタッフのストレスの大きな原因になりかねません。これを解消するためには、相談しやすい環境を整えることが不可欠です。

たとえば、匿名で相談できる窓口を設置したり、定期的な面談を行ったりするとよいでしょう。このような対策を行えば、スタッフは安心して本音を伝えられ、職場の人間関係の改善につながります。長く働いてもらうためには、スタッフの気持ちに寄り添う姿勢が重要です。

建物や医療設備、ツール等を古いものから新しくする

古い建物や設備は、スタッフのモチベーションを低下させる要因です。働きやすく居心地がよい環境を提供するためには、できるだけ築浅で綺麗な建物を選ぶと良いでしょう。

また、医療機器やITシステムなどの新しい設備は、業務の効率化につながりスタッフの満足度を高めます。そのほか、定期的なメンテナンスや清掃を行い、常に快適な環境を維持することが重要です。このような対策は、スタッフのモチベーション向上だけでなく、患者さんへのよりよい医療提供にもつながるため積極的に行いましょう。

評価制度や福利厚生を見直す

適切な評価制度や充実した福利厚生は、スタッフのモチベーションを高め、離職を防ぐために重要です。まずは、スタッフの業績や努力を公正に評価する仕組みを整えましょう。評価基準や昇給制度を明確にし、スタッフに信頼感を持ってもらうことが離職防止につながります。

また、健康診断・研修制度・リフレッシュ休暇など、スタッフが安心して働ける環境を提供する福利厚生の充実も効果的です。

採用の前に適性検査を実施する

採用の段階で適性検査を実施することにより、クリニックの業務に適した人材を見極められます。適性検査では、候補者のスキル・性格・価値観などの把握が可能です。さらにはミスマッチを防ぎ、離職防止につながります。

また、適性検査の結果をもとに、適切な教育や研修プランの作成も可能です。これにより、新人スタッフがスムーズに業務に適応し、長期的に働き続けるためのサポートを行えます。

スタッフの離職を防ぐアイデア3選

スタッフの離職を防ぐためには、さまざまな工夫が必要です。いくつかアイデアを紹介するため、ぜひ参考にしてください。

チーム全体でコミュニケーションを取る時間を作る

クリニックのスタッフが抱える悩みのひとつに、コミュニケーション不足があります。これを解消するためには、チーム全体で定期的にコミュニケーションをとる時間を設けることが有効です。

具体的には、週に一度のミーティングやランチミーティングなど、形式にこだわらず自由な雰囲気で意見交換ができる場をつくりましょう。

個別面談を行う

スタッフ一人ひとりの悩みや不安を解消するためには、個別面談が非常に効果的です。個別面談を定期的に行うと、スタッフが抱える問題を早期に発見し、適切な対応をとれます。

面談では、業務の進捗や悩みだけなく、個人的な希望やキャリアプランについても話し合うことが重要です。また、面談内容は外部に漏らさないなど、プライバシーには十分配慮しましょう。

医療コンサルなどの専門家に相談する

クリニックの運営やスタッフの悩み解決には、医療コンサルタントなどの専門家に相談することも有効です。専門家は、業界の最新情報や成功事例を熟知しており、クリニックの現状に合わせた具体的な改善策を提案してくれます。経営者や管理者だけでは対応が難しい場合は、ひとりで抱え込まずに相談しましょう。

たとえば、業務フローの見直しやスタッフの教育プログラムの導入など、多岐にわたるアドバイスを受けられます。

スタッフに辞めてもらいたい場合の対処法

日本では解雇規制が厳しいため、スタッフを辞めさせるのは困難です。そのため、ハラスメントに注意しつつ、適切な研修や指導を通じて活躍を促すことが重要です。同時に、試用期間での見極めや就業規則でのルール明文化など、基本的な対応も取り組むべきでしょう。

このようにスタッフに辞めてもらいたい場合は、注意すべきポイントがあります。いずれの場合もスタッフには十分配慮し、円満な解決を心がけてください。

何が問題であるかを直接本人に伝える

まずは、スタッフに対して問題点を明確に伝えましょう。曖昧な表現や遠回しな言い方ではなく、具体的な事実や状況を示すことが重要です。業務の遅延やミスの頻発、チームワークの欠如など、具体的な事例をあげることで、相手も納得しやすくなります。

スタッフを傷つけたくないからといって、理由を曖昧にしてしまうと、かえって相手を混乱させてしまいます。スタッフを思うのであれば、濁さずに伝えましょう。

問題の伝え方に気を付ける

問題点を伝える際は、言葉遣いや態度には注意しましょう。ストレートに伝えることは大切ですが、攻撃的な言葉や否定的な態度は避けてください。

また、建設的なフィードバックも心がけましょう。対話の場を設ける際は、プライバシーを尊重し、ほかのスタッフから離れた場所で行うのが望ましいです。また、面談や指導を複数人で行なうことで、役割分担しながら効果的な指導を行える場合もあります。さらに指導内容を日誌に残すなど、双方が安心できる工夫をしましょう。

退職する見込みがない場合、「合意退職」を促すケースも

労働態度が改善せず、当該スタッフが自主退職する見込みがない場合、最終手段として「合意退職」を促すことを考えましょう。そこで本人に納得してもらえない場合は、退職もしくは解雇にするのが一般的な流れです。

ただし、突然解雇すると、解雇されたスタッフから「不当解雇だ」として訴えられるリスクが高まります。事前に説明をしたうえで、適切な手順を踏むことが重要です。また、トラブルが見込まれる場合は、弁護士等に相談しましょう。

離職の原因を把握し、適切な改善策をとろう

スタッフがすぐに辞めてしまう場合は、クリニックの環境改善が不可欠です。スタッフとしっかり向き合い、長く働き続けるための快適な職場環境を用意しましょう。

また、経営者だけでの解決が困難な場合は、専門家への相談も大切です。患者さんだけでなく、スタッフの気持ちに寄り添う姿勢も忘れずに病院経営していきましょう。

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著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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