算定要件の厳格化で利用数は伸び悩み中
新型コロナ対応により利用数の向上が期待される
オンライン診療とは、医師と患者の間において、スマートフォンやタブレット端末を用いて、患者の診察、診断、処方等の診療行為をリアルタイムで行うことを指します(図表1)。電話診療は、それを電話で行った場合を言います。なお、オンライン診療は対面診療の補完という位置づけになっており、初診や急性期の病気についてはできないことになっていました。
オンライン診療は、1997年の厚生省健康政策局通知のなかで、適用が認められる具体例として「離島、へき地の患者」と9種類の疾患が挙げられていました。そのため、オンライン診療の対象は限定されると思われていましたが、2015年8月の「厚生労働省医政局事務連絡」で、これらはあくまで例示であり、対象患者や疾患は限定されないとされました。これによってオンライン診療は実質的に全面解禁されました。
そして2018年度診療報酬改定で、▽オンライン診療料、▽オンライン医学管理料、▽オンライン在宅管理料・精神科オンライン在宅管理料などが新設されました。診療報酬として認められたと期待された半面、対象となるのは主に生活習慣病などの慢性期疾患で、眼科や耳鼻科、泌尿器科、整形外科などの疾患についてはオンラインで保険診療を行うことはほとんどできなくなりました。また、算定要件は非常に厳しい一方で、診療報酬点数は低かったため、実際にはほとんど利用されませんでした。
そのオンライン診療の転機となったのが新型コロナの感染拡大です。感染拡大防止策として臨時的・特例的な取り扱いとして、医師が可能と判断した場合、急性疾患を含めて初診から行えるようなりました。診療報酬に関してもオンライン診療料(71点)ではなく、電話等を用いた初診料(214点)、電話等再診料(73点)、慢性疾患に対する電話再診料(147点)等を算定できるようになりました。
勘違いされがちですが、今回、解禁されたのは「電話・オンライン診療」です。そのため上記の診療報酬は電話での診療に対する評価であり、オンライン診療でも算定可能という仕組みになっています。