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電話・オンライン診療 その課題とは?

公開日/2020.07.14 更新日/2024.07.22

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大を受けて、院内感染などを防ぐ観点から、自宅にいながら医療機関を受診できる「電話・オンライン診療」への注目が高まっています。電話・オンライン診療が推進されてきた背景を知るとともに、実際の利用の仕方や注意点などを確認します。

※この記事は2020年7月14日時点で公開されたアーカイブ記事となります。

算定要件の厳格化で利用数は伸び悩み中
新型コロナ対応により利用数の向上が期待される

オンライン診療はこれまでも可能とされていましたが、新型コロナの院内感染防止などの目的から、初診でもオンライン診療が可能になるといった臨時的・特例的な措置がとられたこともあり、医療機関の導入ハードルが下がったと考えられています。

オンライン診療とは、医師と患者の間において、スマートフォンやタブレット端末を用いて、患者の診察、診断、処方等の診療行為をリアルタイムで行うことを指します(図表1)。電話診療は、それを電話で行った場合を言います。なお、オンライン診療は対面診療の補完という位置づけになっており、初診や急性期の病気についてはできないことになっていました。

オンライン診療は、1997年の厚生省健康政策局通知のなかで、適用が認められる具体例として「離島、へき地の患者」と9種類の疾患が挙げられていました。そのため、オンライン診療の対象は限定されると思われていましたが、2015年8月の「厚生労働省医政局事務連絡」で、これらはあくまで例示であり、対象患者や疾患は限定されないとされました。これによってオンライン診療は実質的に全面解禁されました。

そして2018年度診療報酬改定で、▽オンライン診療料、▽オンライン医学管理料、▽オンライン在宅管理料・精神科オンライン在宅管理料などが新設されました。診療報酬として認められたと期待された半面、対象となるのは主に生活習慣病などの慢性期疾患で、眼科や耳鼻科、泌尿器科、整形外科などの疾患についてはオンラインで保険診療を行うことはほとんどできなくなりました。また、算定要件は非常に厳しい一方で、診療報酬点数は低かったため、実際にはほとんど利用されませんでした。

そのオンライン診療の転機となったのが新型コロナの感染拡大です。感染拡大防止策として臨時的・特例的な取り扱いとして、医師が可能と判断した場合、急性疾患を含めて初診から行えるようなりました。診療報酬に関してもオンライン診療料(71点)ではなく、電話等を用いた初診料(214点)、電話等再診料(73点)、慢性疾患に対する電話再診料(147点)等を算定できるようになりました。

勘違いされがちですが、今回、解禁されたのは「電話・オンライン診療」です。そのため上記の診療報酬は電話での診療に対する評価であり、オンライン診療でも算定可能という仕組みになっています。

診療にあたって特別な手続きなどは不要
対面診療と同等の質の担保は難しい

医療機関側・患者側双方とも、オンライン診療導入にあたって特別なシステムの導入などは原則必要ありません。電話・オンライン診療は対面診療と比べると、医療の質の面が担保できないと言われています。

電話・オンライン診療の流れは図表2のとおりです。なお、厚生労働省のホームページで電話・オンライン診療を実施している医療機関のリストが公表されています。

オンライン診療を希望する場合、患者側はスマートフォンやタブレット、パソコンなどのテレビ電話やビデオ電話ができる機器があれば、受診可能です。電話診療の場合も、電話ができる環境が整っていれば、受診できます。医療機関によっては、専用のオンライン診療用システムを導入しています。システムによっては患者側は専用アプリをダウンロードしたり、診察料とは別に通信費やシステム利用料を求められることもあります。

電話・オンライン診療は、対面診療と同じレベルの医療の質が担保されるのかどうかが懸念材料とされています。触診や聴診ができず、画面越しのため顔色がわかりづらく、得られる情報が限られるため、対面診療と同じレベルの質を担保することは、難しいと考えられています。

さらに、医師には限られた情報から、可能な限り疾病の見落としや誤診を防ぐことが求められます。そのため、患者の心身の状態に関する適切な情報を得るために、日頃から直接の対面診療を重ね、医師と患者間で信頼関係を築くことも必要です。

今後は、介護施設などでも電話・オンライン診療が広まる可能性もあります。介護施設の職員が同席すれば、状態の変化などはより具体的に医師に伝えやすくなるのではないかという声があります。その一方で、医師からは室内の様子など、身体面以外の部分も診察の際の参考にしているため、対面診療の代替には完全にはならないと考えられています。

(提供:株式会社日本医療企画)
以上

図表1
オンライン診療のイメージ:出典 厚生労働省ホームページをもとに編集部作図
https://www.mhlw.go.jp/content/000534254.pdf

図表2
電話・オンライン診療の流れ:出典 厚生労働省ホームページをもとに編集部作図
https://www.mhlw.go.jp/content/000621727.pdf

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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