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医療事務

コロナ禍で浮き彫りになった遅れ 医療現場のDXを強力に推進へ

公開日/2022.10.13 更新日/2024.07.22

厚生労働省は2017年から、健康医療情報の活用・分析に重点を置いたデータヘルス改革を推進してきましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、医療現場のデジタル化は、まさに「待ったなし」の状況です。これまで国の機関や民間企業が先行してDXに取り組んでおり、医療現場でもDXがスムーズに進めば、患者にもスタッフにもさまざまなメリットが期待できます。

※この記事は2022年10月13日時点で公開されたアーカイブ記事となります。

総理を本部長に推進本部を設置

医療DXは、医療現場においてさまざまなデジタル技術を駆使し、改革していくことです。具体的には、医療データの利活用やAⅠシステムの導入、オンライン診療や電子カルテの活用などで、業務負担の軽減、作業の効率化を主な目的としています。加えて、組織やビジネスモデルの変革を含め、〝新たな価値を生み出していくこと〟とされています。

医療DXが注目される背景には、これからますます進む少子高齢化があります。高齢者の割合が増えるのに伴い、医療サービス需要の増加や医療従事者不足への対応は大きな課題です。さらに、デジタル化の遅れはコロナ禍で顕在化しました。たとえば、医療機関と保健所が感染者の情報をファクスでやりとりするケースも目立ち、感染状況の把握が遅れた一因といわれています。

政府は6月に閣議決定した「経済財政運営と改革2022」(骨太の方針2022)に医療DXの推進を明記しました。岸田文雄首相を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」を設置。首相がリーダーシップを取り、医療現場のデジタル化に国が本腰を入れて取り組んでいく姿勢を明確にしました。


医療情報を共有するプラットフォーム創設へ

「骨太の方針」で特に注目したいのは、①「全国医療情報プラットフォーム」の創設、②電子カルテ情報の標準化、③診療報酬改定DX――の3点です。

「全国医療情報プラットフォーム」とは、現在バラバラに保存している健康・医療に関する情報を活用する場所のことです。既往歴や、どのような治療を受け、どんな薬が処方されたのか。こうした情報が、医療機関をまたいで活用できれば、複数の医療機関を受診したり、変更したりしても、治療をスムーズに継続できます。

電子カルテ情報の標準化は、医療機関間や患者自身が医療情報を、ネットワーク上で共有・把握するための情報の標準規格や交換手段を設定することです。この規格が浸透していけば、「全国医療情報プラットフォーム」での情報の共有・交換が可能です。ただ、厚労省によると、電子カルテの全国普及率は一般病院57.2%、診療所49.9%(2020年現在)にとどまっており、さらなる普及促進が課題となっています。

診療報酬改定DXの目的は、2年ごとに行われている診療報酬改定に伴う作業を効率化することです。改定のたびに必要となる報酬計算プログラムなどの開発の手間を省力化。診療報酬を計算するレセプトコンピュータや電子カルテの運営コスト削減を目指しています。

その他、今回の方針に盛り込まれた医療DX関連のトピックを紹介します。

  • ・PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の推進
  • ・医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の義務化(2023年4月~)
  • ・マイナンバーカードの保険証利用の推進と保険証の原則廃止(希望者には交付される)
  • ・医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等の整備
  • ・オンライン診療の活用促進
  • ・臨床情報と全ゲノム解析の結果等の情報の連携および情報基盤の構築

医療従事者の働き方そのものを変える

医療DXが広く浸透すれば、患者にとって、遠隔地からの診療が可能になるほか、待ち時間や移動時間の削減などのメリットがあります。しかし、デジタル化を推進するだけではまだ十分とは言えません。患者に対し、最適の医療を提供することが医療DXの本来の目的であることを肝に銘じる必要があるでしょう。

また、医療従事者にとっては業務の効率化により、負担軽減が期待できる一方、これまで手当てができなかった業務に人を充てることも可能です。結果的に、職場の人員配置の見直し、組織改編につながることが考えられます。医療DXは、医療従事者の働き方そのものにも直結し、大きく変える可能性があるわけです。その意味で、自院の医療DXに対する考え方、取り組み状況を把握するなど当事者意識をもって向き合うことが求められていると言えます。

(提供:株式会社日本医療企画)

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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