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介護の現場でよく耳にする「成年後見制度」。介護スタッフが知っておくべき基礎知識を紹介します。

公開日/2022.09.01 更新日/2024.07.22

介護現場でよく耳にする「成年後見制度」や「後見人」。利用者のために、どのような業務を行えばいいのでしょうか。ここでは、介護スタッフとして知っておくべき基礎知識や後見人とのかかわり方を紹介します。

※この記事は2022年9月1日時点で公開されたアーカイブ記事となります。

まずは制度の概要を紹介
大きく2つに分かれています

「成年後見制度」とは、認知能力の低下や精神障害、各種疾患などにより、判断能力が不十分であるとされた人の権利や財産を後見人が守り、意思決定を支援する仕組みです。そして「成年後見制度」には、<法定後見制度>と<任意後見制度>の2つの制度があり、対象者や後見人の支援範囲が異なります。

法定後見制度

認知症や疾患などすでに判断能力が不十分の人が対象の制度で、後見人には家族や司法書士、弁護士、社会福祉士、市民後見人、または社会福祉協議会などの法人の中から、家庭裁判所が適任と判断した人が選ばれます。また、判断能力に応じて、少し衰えがある場合は「補助類型」、かなり衰えがある場合は「保佐類型」、非常に減退している場合は「後見類型」に分かれており、要介護認定の申請や入退院の手続きなど支援できる範囲が異なります。

任意後見制度

将来、判断能力が衰えたときに備えて、家族、知人、司法書士や弁護士といった専門職などを後見人として、個人間で契約を結ぶ制度です。契約時には財産管理や介護内容など、どこまで任せるかを定めておき、判断能力が衰えた際は、契約内容に則って後見人が対応を始めます。ほぼすべての判断を任せられるように、代理権(本人に代わって、契約などの法律行為を行う権限のこと)を広く定めることもできます。


後見人は介護スタッフと
同じチームの一員です

介護現場においては、利用者に頼れる家族がいるか、そして後見人の有無を確認しておくことはとても大切なことです。特に施設系に関しては、入居前にしっかりと確認をしておきましょう。そのうえで、もし頼れる家族や後見人がいない利用者の場合には、以下のような状態になっていないか、常に注意が必要です。

  • ・介護施設への入居契約など自身で必要な介護サービスを決められない
  • ・夫婦のどちらかが亡くなり、その後の財産管理や相続手続きが困難である
  • ・不要な買い物や高額商品の購入が続くなど、金銭感覚が変化してきた
  • ・家族が年金を使っているなど、経済的虐待を受けている疑いがある

このような場合には、介護スタッフは早めに地域包括支援センターや市区町村の担当部署、ケアワーカーなどに利用者の後見人について相談すると良いでしょう。

なお、利用者の後見人への連絡方法に関しては、利用者の状況に合わせて関係者間であらかじめ取り決めておくとよいです。またそうした情報は、スタッフ間で共有しておくことが重要です。そして何より大事なことは、後見人とは常にコミュニケーションを図れる状態にしておくことです。必要に応じて、スタッフ会議に参加してもらうのも良いでしょう。利用者の生活の質の維持・向上のために、利用者を支える“チームメンバーの一員”として、後見人とは積極的なコミュニケーションを心がけましょう。

ここで、後見人が行うことができる行為の一部を紹介します。

  • ・預貯金の管理
  • ・定期的な収入の受領
  • ・施設入所契約および費用の支払い
  • ・デイサービスや訪問介護などの福祉サービス契約の締結及び費用の支払い
  • ・介護保険、要介護認定、健康保険などの各種申請
  • ・相続関係の手続き等

逆に、後見人ができない行為としては、医療行為の同意などが挙げられますが、医療機関で病状説明を一緒に聞き、本人の意思決定を支援することは可能です。他にも後見人が行える行為は多々あるため、利用者のためにも、迷ったときには都度、後見人に相談してみましょう。

後見人は、頼れる家族と同様に利用者にとって自分らしい生き方と安心を支える心強い味方です。また、介護保険制度と同様に、地域でその人らしく暮らすことを支える制度の一つでもあります。利用者家族や介護スタッフだけでは対応できない際に役立つのが「成年後見制度」です。改めて制度内容を確認するとともに、職場内で話し合いをしてみてはいかがでしょうか。

(提供:株式会社日本医療企画)

取材協力:公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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