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医療事務

「ときどき入院、ほぼ在宅」を支える<地域包括ケア病棟>とは?

公開日/2022.07.12 更新日/2024.07.22

超高齢社会を迎え、日本の医療は従来の「治す医療」から「治し支える医療」にシフトしています。そういった新しい時代の医療、地域包括ケアシステムの要となるのが<地域包括ケア病棟>です。

※この記事は2022年7月12日時点で公開されたアーカイブ記事となります。

医療と介護、施設と在宅の
橋渡し役<地域包括ケア病棟>

超高齢社会を迎え、75歳以上の後期高齢者が今後さらに増えていきます。そうなると治療を終えた後に、リハビリテーションや介護等の生活支援を必要とする患者も増えます。このような患者を受け入れるのが「地域包括ケア病棟」です。住み慣れた地域で最後まで安心して暮らせる、地域包括ケアシステムを支える病棟として注目される役割を見ていきます。

医療と介護の需要増加を見越して創設

病院のなかで、入院ベッド(病床)の入った建物やフロアは「病棟」と呼ばれますが、入院する患者の状態や提供する医療内容によって病棟の機能は区分けされています。「地域包括ケア病棟」はそうした病棟の1つの機能として、2014年度診療報酬改定で新たに設けられました。

「地域包括ケア病棟」の誕生は、急速な高齢化が背景にあります。団塊の世代が 75歳以上となる2025年以降、医療と介護の需要がさらに増加する見込みです。国は現在、要介護状態や認知症高齢者でも地域で生活し続けることができるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築を推進しています。「地域包括ケア病棟」では、医療と介護、施設と在宅部門が連携しながら、急性期で治療を終えた患者が在宅に帰れるようなサポートを行うことで、地域包括ケアシステムの実現を目指しています。

「地域包括ケア病棟」の届出を行う際の施設基準に、 ▽看護師は患者13人につき1人以上配置、 ▽入院・退院を支援する部門の設置、 ▽常勤のリハビリ専門職の配置 などがあります。「ときどき入院、ほぼ在宅」と表現される在宅重視の病棟で、自宅等から入院した患者割合、在宅医療の実績が基準に設けられています。入棟対象の患者については、年齢や対象疾患、要介護度などの要件はなく、幅広く受け入れができます。ニーズの高さから病床数は年々増えており、現在約10万床です。

地域での在宅療養を支える3つの役割

「地域包括ケア病棟」について、厚生労働省は次の3つの役割を挙げています。

  1. 急性期治療を経過した患者の受け入れ
    通常、一般病棟で急性期治療を終えて病状が安定した場合は、退院して自宅や介護施設などに戻ります。しかし、すぐに在宅での生活が不可能な場合、急性期病院・病棟から患者を受け入れ、引き続き治療やリハビリを行います。
  2. 在宅で療養を行う患者等の受け入れ
    自宅や介護施設で、医療・介護専門職の支援を受けながら療養生活を送っていて、急に具合が悪くなったときに緊急で受け入れます。多くは急性期治療ほどの手厚い医療を必要としない肺炎や、手術を必要とする骨折などの疾患です。
  3. 在宅復帰支援
    ①や②などで入院した患者に対して、自宅や介護施設に戻って元の生活を送れるように支援します。医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーなどが中心となり、看護や介護に関する相談・指導をはじめとした、退院に向けたサポートを実施します。

「地域包括ケア病棟」の入院は最長60日で、いずれも治療後の在宅復帰を目指します。そのためには、かかりつけ医のほか在宅医療・介護サービスにかかわる人たちによる多職種協働が欠かせません。

医療機関においては、患者の入院直後から認知症や廃用性症候群の予防、栄養サポートなどに早期からチームで取り組むことが重要です。在宅での療養生活を送るうえで必要な情報は地域のケアマネジャーにつなげて、必要に応じて訪問看護師に同行し、退院患者をフォローするといった連携が求められます。また、「地域包括ケア病棟」は在宅での療養中に介護者が休養を取りたいといった場合の一時入院にも活用できます。介護施設では、こういった地域包括ケア病棟の役割を知っておくことで利用者の急性増悪などに速やかに対応できるほか、利用者家族のケアにも役立ちます。

患者の高齢化により、急性期治療を終えてもすぐに元の生活に戻れるケースは少なくなっています。地域医療を支えるためにも、これまでの「退院支援」からさらに進んだ「在宅支援」といった視点で、医療や介護を提供していくことが必要です。

(提供:株式会社日本医療企画)

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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