医療事務の採用時に適性検査は必要?試験を行うメリットや各種検査方法を解説
医療事務スタッフを採用するにあたり、最近では面接や書類審査以外に「適性検査」を実施するクリニックや病院もみられます。本記事では、医療事務の採用に適性検査を導入するメリットや種類についてご紹介。活躍してくれる医療事務を確保したい病院経営者様、開業医の方は必見です。
そもそも適性検査とは?
適性検査とは、個人の特性や能力を評価する試験です。一般的には、質問形式のテストや心理テストが用いられます。対人で面接をする場合、応募者の見た目や第一印象で判断してしまうことも少なくありません。
適性検査を行えば、その仕事への適性や一定の能力を備えているかどうか、データにもとづいて判断できます。また、面接だけでは見えない応募者の人間性や考え方を判断する材料としても活用できるでしょう。
医療事務の採用に適性検査を導入する3つのメリット
医療事務の採用で適性検査を導入する3つのメリットについて解説します。
採用後のミスマッチを防げる
適性検査を実施すれば、応募者に医療事務の仕事への適性があるかどうか、事前に把握することが可能です。医療事務の現場で必要とされる能力や人間性などを評価でき、採用前にミスマッチを防げます。書類選考や面接だけを行うのと比べて、より効率的に職務内容に合わない人材の採用を避けられるでしょう。
また、実施する適性検査の種類によっては、医療事務に必要な専門知識や対人スキルを事前に評価できます。
客観的な選考の指標にできる
適性検査の結果は数値やデータとして可視化されるため、客観的な選考の指標として役立ちます。数値化されたデータをもとに、応募者の能力や適性を把握できるでしょう。
また、数値やデータを採用基準の1つにしておくことで、選考過程の主観的な判断を最小限に抑えられます。人事担当者の経験に左右されず、採用の質を担保できるでしょう。
論理的思考力を定量的に測定できる
適性検査を行うことで、応募者が論理的な思考力を持ち合わせているかチェックできます。問題解決や情報整理の能力を評価する項目もあるため、日常業務での効率性や正確性を判断するのに役立つでしょう。
また、適性検査の結果は定量的なデータにもとづく評価です。面接や履歴書では判断しにくい能力を明確にする役割も果たします。
医療事務の採用で適性検査を行わないデメリット
・医療事務に必要な適性を見極められない
適性検査を行わない場合、書類選考と面接のみで採用を進めるため、医療事務の業務に必要なスキルや思考力、計算力などの適性を採用前に見極める機会を失ってしまいます。
医療事務としての経験やスキルが優れていても、採用した人材が職場の雰囲気や業務と合致しないケースもあります。結果、業務の効率低下や早期離職が増える可能性も。
スタッフの離職が増えることは、長期的にみると採用・人材育成コストの増大につながり、経営にも大きな影響を与えます。採用後のミスマッチにより既存スタッフに負担がかかり、チーム全体の士気が低下する恐れもあるでしょう。
さまざまなリスクを回避するためにも、医療事務の採用において適性検査を検討することがおすすめです。
医療事務の採用でよく使われる適性検査
実際に医療事務の採用で使われる適性検査は複数あります。種類によって評価できる項目が異なるため、詳しい特徴をみていきましょう。
クレペリン検査
クレペリン検査は、応募者の作業持続力や注意力、精神的な疲労の回復力を測定する適性検査です。日本の採用において長く活用されています。具体的には、簡単な計算問題を一定時間内に回答し、個人の作業能力や疲労の蓄積度合いを数値化します。
計算問題を解く過程での精度と速度は、医療事務の仕事とも密接に関係しています。選考において応募者の適性を見極めるのに有効です。
Y-G性格検査
Y-G性格検査は、応募者の人格特性や適職性を多面的に評価する検査です。検査方法はシンプルで、設問に対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3択で回答します。
対人関係の構築能力やストレス耐性について評価が可能です。医療事務として患者さんや医師、看護師などとの連携がしっかり取れるかどうかなどがわかる、公平な判断材料として利用できるでしょう。
SPI3
SPI3はビジネスパーソンの総合的な能力を測定する適性検査です。数理能力や言語理解能力、性格特性など幅広い分野にわたる問題が用意されています。
結果からは、個人の能力の多面的な評価、コミュニケーション能力や問題解決能力を評価できます。また、チームワークを円滑に進めるための性格があるかどうかも見極めることが可能です。
CAB
CABは「Computer Aptitude Battery」の略で、応募者のコンピュータ職への適性を見極める検査です。暗算、法則性、命令表、暗号の4つの問題で構成されています。
応募者が持つチームワークの特性などを測定するために設計され、医療事務職の採用においては、情報処理能力やストレス耐性、コミュニケーションスキルを包括的に評価できます。とくに、医療事務には正確性と迅速性が求められるため、CABによる評価が活用されています。
GAB
GABは「Graduate Aptitude Battery」の略で、個人の知的能力や性格を測定する適性検査です。検査の中では、言語理解や計数理解、性格特性をチェックする問題が出題されます。
医療事務業務に必要な基本スキルの評価だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力、協調性といった性格を見極めるのに有効です。マネジメント能力を持ち合わせているかどうかや、その人に適した職務についても判断できます。
玉手箱 Ⅲ
玉手箱Ⅲは計数理解、言語理解、英語、性格テストなどで構成され、受験者の知的能力や性格を測定することを目的としています。結果からは、知的能力と性格の両方の面から医療事務の仕事に適した能力を持ち合わせているかどうか、総合的に評価可能です。
医療事務に向いている人材の特徴
適性検査の結果を利用して人材採用を行うために、医療事務に向いている人の特徴についても理解を深めておきましょう。
チームで働くのが得意な人
医療事務の仕事は、医師や看護師、患者さんなどさまざまな人と関わりながら進めるため、チームとして働くのが得意な人が向いています。医療事務としての知識はもちろん、コミュニケーション能力が高く、問題解決に積極的な人が活躍できる職場です。
また、チームをまとめ、円滑に業務を進めるためのマネジメント能力などもあると活躍の場が広がります。
思いやりのあるコミュニケーションができる人
医療事務として患者さんや医療スタッフと良好な関係を構築するには、お互いの仕事や立場を理解できる思いやりが必要です。患者さんには、不安や疑問に対して丁寧に説明し、適切な励ましの言葉をかけることが重要。
医師や看護師に対しては、診察や看護に専念できるよう、先回りを意識した業務を行うことなどが大切です。自分中心で仕事のペースを考えてしまう人よりも、相手の立場を考えて行動できる人に向いています。
細かい作業や数字に強い人
医療事務は、会計業務・レセプト業務など数字にまつわる仕事が多いため、注意力と数字への理解が必要です。ミスが起こるとやり直しの手間はもちろん、患者さんからは信用を失ってしまいます。
責任の大きな業務である一方、レセプトの作成や会計処理を的確に行うことで、医療機関の収益管理に貢献できるやりがいを感じることも可能です。
医療事務に適している人材を見極めるポイント
最後に、適性検査などを活用し、医療事務に適している人材を見極めるポイントについて解説します。
設定したターゲットと合致する人材か
医療事務の採用を行う際は、医療事務としてどんな人材を求めるか「採用ターゲット」を明確に決めましょう。採用ターゲットを決めることで、選考や採用の共通基準として役立ちます。
採用ターゲットにもとづいて、適性検査では必要な能力やスキル、知識を持っているのかを、面接では、人物像やキャリアなどの見極めができるでしょう。
病院・クリニックの風土に合っているか
病院やクリニックには、それぞれ異なる文化や理念があります。医療事務の応募者の価値観や志向が、自院にマッチしているかどうか、確認を行うことが大切です。
優れた経験や能力がある人材でも、風土や理念に共感できない場合、入職後に短期間で退職してしまう可能性があります。環境に合わない人が入職することは、既存スタッフにもよくない影響を与えるためとくに注意しましょう。
入社後に期待できるプラス要素があるか
理想とする人材像として設定した条件以外に、入職後その人のキャリアやスキルを活かせるようなものがあれば、プラス要素として大いに評価を行いましょう。
とくに、医療事務は未経験でも採用する場合が多いです。異業種からの転職であれば、過去にどんな成果を上げたのか、新しい知識を学ぶ姿勢があるのかなども評価軸の一つとして入れておくことをおすすめします。
適性検査を活用し、優秀な医療事務を採用しよう
医療事務を採用する際に適性検査を活用するメリットや、具体的な適性検査の種類について解説しました。適性検査は面接官の主観にとらわれず、客観的に求職者を評価できる有効な手段です。採用後のミスマッチを事前に防ぐためにも、積極的に活用することをおすすめします。
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