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医療接遇とは?病院経営者必見の接遇スキルの高め方を解説!

公開日/2024.09.10 更新日/2024.09.12

医療現場に特化した患者さん対応を指す医療接遇は、患者さんから選ばれる病院になるために欠かせない要素のひとつです。働くスタッフ一人ひとりの医療接遇スキル向上が求められますが、具体的に何から始めればよいかわからない方も多いでしょう。本記事では、医療接遇の考え方やスキルを高めるための基本の5原則、行動について解説します。病院やクリニックの経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

医療接遇とは?

医療接遇とは、患者さんが抱える不安や心配などを察知し、気持ちに寄り添った対応や行動をすることです。

医療接遇は、病院を訪れる患者さんの思いを深く理解し、安心感を提供できるように努める一連の行動を指します。患者さんが抱える不安や心配、悩みなどの気持ちに寄り添い、ストレスを少しでも軽減できるように努めることが大切です。単なるサービス提供とは異なる点を覚えておきましょう。

医療接遇を学び実践することで、患者さんとの信頼関係を築き上げ、医療の質を高めることにつながります。

医療接遇を行う理由

・患者さんの心理的ストレスの軽減
・医療機関への信頼の獲得

医療接遇の目的は、先にも述べたように患者さんが安心して医療を受けられる環境を提供することです。医療スタッフの心温まる対応によって、患者さんが抱える心理的な負担を軽減できます。

医療接遇を向上させると、患者さんは「この医療機関は自分に寄り添ってくれる、信頼のおける場所だ」と実感できるでしょう。患者さんからの信頼を獲得し、困ったときはまたこの医療機関に頼りたいと思ってもらえます。

また、医療スタッフにとっても、患者さんからの感謝や信頼を得ることで、仕事に対するモチベーションが向上したり、スタッフ間の人間関係が良好になったりするなどのメリットがあるでしょう。

医療接遇の重要性

参考:日本医師協会「医療従事者のための医療安全対策マニュアル」

大阪医師協会が診療所2,312カ所(無床2,151、有床161)に対して行ったアンケートによると、クレームが多かった箇所として「接遇」に関するものが33.6%に上りました。その内65.1%は窓口対応でのトラブルです。

数値の面からも接遇に関するトラブルは多く、「医療従事者のための医療安全対策マニュアル」でも、「病院でも診療所でも、接遇の管理・改善がリスクマネジメントとしてきわめて重要である」と述べられています。安定した医療機関経営を維持していくうえでも、「医療接遇」の考えを持つことが重要であることがわかるでしょう。

医療接遇と他分野の接客の違い

患者さんの不安に対して寄り添う

医療接遇の重要な要素の一つは、患者さんの不安や心配などの気持ちに寄り添うことです。一般的な接客の場合、スタッフはお客さまに対して楽しさや明るさなどを提供することが優先されます。

しかし、患者さんが医療機関を訪れる際は、何らかの不調や悩みを持っており、診断や治療に対する不安を抱いています。そのため、患者さんに接する際は心に寄り添う姿勢が大切です。実際の業務の中では、患者さんの話をしっかりと聞き、共感を示すことで安心感や良好な関係を生み出します。

お互いに対等な関係を築く

医療接遇では、患者さんと医療従事者が対等な関係を築くことが重要です。一般的な接客業務では、サービスを提供するスタッフとお客さまの関係は上下関係になりがちですが、医療の現場ではこの構図が逆に悪影響を及ぼします。

信頼と尊重の関係を作り、患者さんが自分の状態や希望を自由に話せる環境を作り上げましょう。対等な関係を意識することで、よりよい医療の提供場所を作り出せます。

必要以上に質の高い接遇は求められていない

医療接遇は、患者さんの不安に寄り添って安心感を提供することが主目的です。ホテルマンやキャビンアテンダント(CA)のような、お客さまの満足を目標にした接遇とは異なる点を覚えておきましょう。

過剰なサービスや過度な丁寧さは、かえって患者さんに負担を感じさせてしまうことがあります。病状や会話の中から患者さんのニーズを汲み取り、適切な対応を心がけることが重要です。

医療接遇の向上によって得られる病院経営におけるメリット

医療接遇の向上は患者さんだけでなく、病院やクリニックの経営においてもメリットがあります。メリットを把握し、医療接遇の向上を経営課題の一つとして取り入れていきましょう。

増患・増益・クレームの減少につながる

医療接遇を徹底することで、患者さんからの信頼が得られ、クレームやトラブルの防止・減少に効果を発揮します。クレーム等が減ることで信頼関係が生まれ、口コミや紹介を通じて新規の患者さんの獲得、既存患者さんのリピート率向上も期待できるでしょう。

患者さんからの信頼向上や集患効果アップの結果、安定した収益を確保でき、経営状況の改善にも役立ちます。

スタッフのモチベーションの向上に役立つ

医療接遇の実践によって、患者さんの満足度が向上しクレームが減少すると、医療スタッフのモチベーションアップにつながります。通常の業務に追われる中でさらにクレーム対応をしなければならない場合、スタッフの心のゆとりはなくなり、仕事へのモチベーションは下がってしまいます。職場全体の雰囲気が悪化し、離職・人材不足につながる可能性も否めません。

医療接遇を向上させて患者さんからの感謝や信頼の言葉を直接受け取れるようになれば、スタッフ自身の仕事の誇りややりがいにもつながります。スタッフに互いを思いやる姿勢が生まれてコミュニケーションが円滑になり、職場の雰囲気も向上も向上するでしょう。

医療スタッフの労働時間の短縮につながる

医療接遇の向上によって患者さんのニーズを的確に把握できるようになると、事前にトラブルやクレームを防止できます。クレーム対応などにかかる時間の浪費を減らし、業務の効率化を目指せるでしょう。

また、スタッフ間でコミュニケーションが取りやすくなり、業務分担や調整も円滑にできるようになります。業務の効率化によって労働時間が短縮し、スタッフの負担軽減につながるでしょう。職場環境の改善は、離職率低下や利益率アップなど経営面にとっても大きなメリットがあります。

スタッフの医療接遇のスキルを高める4つのポイント

実際にスタッフの医療接遇スキルを磨くためには、基本の5原則や傾聴力など重視すべきポイントを押さえることが重要です。医療機関の経営者として、医療接遇を高めるポイントを知っておきましょう。

医療接遇の5原則を徹底する

医療接遇の5原則
1.身だしなみ ・常に安全かつ清潔な服装と身だしなみを保つ。
・病院の規定に従った正しいユニフォームを着用する。
2.あいさつ ・相手の目を見て、適切なタイミングであいさつする。
・相手やシチュエーションを問わず、一貫してあいさつをする。
3.表情 ・常に柔らかく穏やかな表情を心がける。
・患者さんの気持ちに寄り添った表情を示す。
・真剣な場面では、適度な緊張感を持つ表情を作る。
4.態度 ・相手の立場に立って行動する。
5.言葉遣い ・適切な敬語を使用する。
・わかりやすく簡潔に話す。
・できるだけポジティブな言葉を選ぶ。

「医療接遇の5原則」は、スタッフの医療接遇向上のために徹底したい基本事項です。

1つ目の「身だしなみ」は、相手に不快感を与えない身なりに整えることを指します。医療安全の観点から、爪を短く切りそろえる、髪をまとめるなどを心がけ、ネイルや華美なアクセサリーは控えましょう。

2つ目の「あいさつ」は、「患者さんに気づいている」ことを示す行動です。患者さんにとってスタッフの第一印象を左右する重要な要素であるため、どんな場面でもあいさつをするよう心がけましょう。威圧感なく、安心感を与えられる声のトーンやボリュームを意識してください。

3つ目の「表情」は、自分の感情を伝える要素です。患者さんに親しみやすさを感じてもらえるように、穏やかな笑顔で対応することを心がけましょう。状況に応じて表情を使い分けることも重要です。

4つ目の「態度」は、患者さんの話を聞くときの姿勢をあらわします。自分の感情は態度にもあらわれるため、背筋を伸ばし、患者さんの方に体と視線を向けて話を聞きましょう。

5つ目の「言葉遣い」では、丁寧かつ患者さんに合わせた適切な言葉遣いを心がける必要があります。専門的な難しい用語ではなく、誰にとってもわかりやすい言葉を選んで話しましょう。

傾聴力を磨く

患者さんの話を聞く際の「傾聴力」は、医療接遇において非常に重要なスキルです。単に話を聞くだけではなく、患者さんが抱える不安や悩みをしっかりと理解して、気持ちに共感することを心がけましょう。

傾聴力を高めるためには、相手の話に集中し、途中で会話を遮らないことが大切。会話の中では、うなずきや表情で相手に対する関心を示す、患者さんの話や主張を復唱するなども意識しましょう。

患者さんの目線に立って考える

スタッフの医療スキル向上のためには、相手の視点に立って「患者さんは何を望んでいるか」を考え、行動する姿勢が欠かせません。患者さんの望みを積極的に考え先回りして対応すれば、不安や悩みの理解、より強固な信頼の構築が可能です。

信頼関係が強化されると、患者さんは安心して医療を受けられるようになり、リピート率アップなどのよい循環が生まれます。

丁寧なコミュニケーションを行う

スタッフの医療接遇スキルを高めるには、一人ひとりの丁寧なコミュニケーションが必須です。患者さんと良好な関係を作るのに欠かせない要素として、「アイコンタクト」があります。目を合わせることで相手に対する関心や誠意を伝え、より円滑にコミュニケーションが取れるようになるでしょう。

ただし、見つめすぎると逆にプレッシャーを与えることもあります。適度な間隔で目をそらすことが大切であることは覚えておきましょう。

医療接遇のスキル向上のためにできることは?【病院経営者向け】

最後に、医療接遇のスキル向上のために病院やクリニックの経営者ができる取り組みについてご紹介します。

スタッフが接遇研修に参加する機会を設ける

スタッフの医療接遇スキルを高めるには、接遇研修や勉強会などを定期的に行うことがおすすめです。医療専門の講師などと協力し、スタッフのモチベーションが上がるよう学びの機会を作りましょう。

一時的な講習や指導では長期的な医療接遇の向上につながりません。半年、一年など一定のペースで研修を開催し、院内接遇チェックシートを作成して定期的にチームメンバーで医療接遇について見直す機会を設けましょう。

カスタマーハラスメントに対する方針を作る

スタッフの接遇スキルを高めると同時に、医療機関として「カスタマーハラスメント」に対応するための方針を作ることも大切です。患者さんの中には、理不尽な要求や説教をする人もいます。明らかにスタッフに非がないのにクレームを言う人たちにまで、医療接遇を徹底する必要はありません。

カスタマーハラスメントが発生した場合に備えて、病院としての方針や判断基準を明確にし、毅然とした態度で対応しましょう。医療機関以外に一般企業や航空業界などでも、カスタマーハラスメントに対する方針を作成しています。

医事関連受託サービスを活用する

医療機関の中で医療接遇スキルの向上や人材の育成が難しい場合は、外部の人材をアウトソーシングするのがおすすめです。人材育成コストがかからず、即戦力として活躍が期待できます。

ソラストでは、医療事務をはじめとする各業務に対応する医事関連受託サービスを提供中です。プロフェッショナルな接遇力を支えるスタッフが在籍しているため、病院のイメージアップはもちろん、他のスタッフへの波及効果も期待できます。

医療接遇の向上により、信頼される医療機関を目指そう

患者さんに安心感を与え、信頼関係の構築・集患につなげるには、スタッフ一人ひとりの医療接遇スキルの向上が必要不可欠です。また、医療接遇の向上は働きやすい職場づくり、病院経営の安定化など働く人にとっても大きなメリットがあります。医療接遇は一朝一夕で身につくスキルではないので、日頃から意識した業務を行っていきましょう。

病院やクリニックの経営者の方で、働くスタッフの医療接遇力向上を目指したいと考えている場合はソラストの医事関連受託サービスを利用するのがおすすめです。医療事務のほか高い接遇力を備えるスタッフが多数在籍しており、医療機関のイメージアップに貢献します。サービスの詳細は、下記のリンクからご覧ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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