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医師事務作業補助者(ドクターズクラーク®️)とは?仕事内容や導入効果を解説!

公開日/2024.09.24 更新日/2024.09.24

医師の指示に沿って業務をサポートする「医師事務作業補助者(ドクターズクラーク®️)」。「ドクターズオフィスワークアシスト®️」とも呼ばれ、業務の効率化に加えて医療サービスの質向上にも寄与する重要な役割があり、近年需要も高まっています。今回は、医師事務作業補助者の概要や仕事内容、導入効果などをご紹介。院内の業務効率化を図りたい病院経営者様はぜひご覧ください。

医師事務作業補助者とは?

医師事務作業補助者とは、医師の指示に従って医師が行う業務のサポートをする専門職です。

医師事務作業補助者(ドクターズクラーク®️)は、医師の業務をサポートする職種です。比較的新しい職種であり、医師の負担を軽減して医療サービスの質を高めることを目的に作られました。

具体的には、患者さんの診療記録の作成や整理、検査結果の入力、患者さん情報の管理など、本来医師が行う業務の一部を代行します。医師のサポートが主目的の業務ではありますが、医療チームの一員として、医師や看護師と連携しながら業務を遂行する、コミュニケーション能力などが求められます。

医師事務作業補助者が登場した理由

医師事務作業補助者の職種が登場した背景には、医師の長時間労働や過重労働といった社会的な問題があります。医師事務作業補助者が登場するまで、医師は患者さんの診療以外にも多くの書類作成や事務作業を行っており、業務量の多さが課題でした。

医師の業務の一部を医師事務作業補助者に任せることで、長時間労働の是正や業務負担の軽減が図られています。また、2024年4月からは「医師の働き方改革」に関する施策も開始。より一層の業務効率化が求められ、医師事務作業補助者ニーズが急増中です。

医療事務との違い

医師事務作業補助者 医療事務者
役割 医師の業務を補助し、
医師が診療に専念できる環境を提供する。
医療機関の事務全般を担当し、運営を支える。
仕事内容 ・カルテの記載補助
・医療文書の作成代行
・各種データ入力や管理 など
・患者さんの受付業務
・診療報酬請求(レセプト業務)
・予約管理や電話対応 など
求められるスキル ・コミュニケーション能力
・医療知識や用語の理解
・正確な文章作成能力
・医療事務に関する専門知識(レセプト作成や保険制度)
・コミュニケーション能力 (患者さん対応)
・基本的なPCスキルと事務処理能力

医療事務と医師事務作業補助者(ドクターズクラーク®️)は、どちらも医療機関で働く職種ですが、役割や業務内容に大きな違いがあります。

医療事務は主に受付業務や会計、診療報酬請求など、患者さんの来院から退院までの手続きを担当。一般的な事務スキルや接遇能力が重視されます。

一方で、医師事務作業補助者は、医師の業務をサポートすることが主な役割です。医師の指示を受けて業務にあたるため、コミュニケーション能力や医療に関する専門知識、医療現場の実務経験などが求められます。

医師事務作業補助者の仕事内容

・カルテの記載補助・入力代行
・医療文書の作成代行(診断書、紹介状、処方箋、同意書など)
・診療情報の整理・管理
・行政対応のための事務的業務
・学会・カンファレンスの準備
・患者さんへの検査・診療・入院等の説明 など

医師事務作業補助者(ドクターズクラーク®️)は、医療現場で医師の指示を受けて業務を行います。具体的には、患者さんのカルテや診断書、処方箋といった医療文書の作成補助・入力代行です。

また、患者さんに対しては、診察前の問診や診察後の説明、検査や入院に関する手続きのサポートを行います。患者さんがこれから行う診察や検査などへの理解を深め、安心して実施できるよう支える役割を担っています。これは医療の専門知識がある、医師事務作業補助者にしかできない業務です。

医師事務作業補助者がいることで、医師はより多くの患者さんを診療できるようになり、医療サービス全体の質向上を目指せます。

医師事務作業補助者の試験内容

医師事務作業補助者は、資格がない人でも就業できます。しかし、医療現場で働く職種であり業務内容の専門性も高いため、資格を取得して事前に知識を身につけておくこともおすすめです。ここでは代表的な2つの資格試験をご案内します。

資格名 ドクターズクラーク®️
受験資格 とくになし
試験日程 毎月、土日を中心に複数回実施
試験の実施方法 【インターネット試験】
・学科(50分)医師事務作業補助基礎知識 穴埋め入力・選択(○×・択一)方式 60問
・実技(70分)医療文書作成 穴埋め入力・選択(○×・択一)方式 4症例
受験料 10,560円(税込)
受験方式 IBT(Internet Based Testing)方式
合否判定 学科・実技それぞれの得点率が70%以上、かつ、実技の各問の得点率がすべて30%以上で合格

参照:一般財団法人 日本医療教育財団

一般財団法人 日本医療教育財団は、「ドクターズクラーク®️」の認定試験を実施しています。試験は学科と実技試験の2つで構成。筆記試験では、医療関連の法規や医療保障制度、医学・薬学の一般的な知識、カルテの記載方法などが問われます。実技試験では実際の業務をシミュレーションし、正確かつ迅速に対応できるかどうかを評価。

試験方法はインターネット試験が採用され、毎月複数回開催されているため、受験がしやすい特徴があります。

資格名 ドクターズオフィスワークアシスト®️
受験資格 とくになし
試験日程 奇数月の第4土曜日翌日(日曜日)
試験の実施方法 (1) 学科試験/マークシート(択一式)
(2)実技試験/マークシート(択一式)、文書作成4問(カルテから診断書や処方せん等を作成する問題)
受験料 7,500円(税込)
受験方式 在宅受験
合否判定 学科試験・実技試験各分野で約60%以上の得点をし、且つ、合計で約80%以上の得点
※実技・学科ともに合格基準に達した場合に合格と判定します。総得点の約80%以上

参照:技能認定振興協会

同様に、技能認定振興協会では、「ドクターズオフィスワークアシスト®️」の認定試験を実施しています。こちらも、試験は学科と実技試験の2つで構成され、医師事務作業補助者とは、医療関連法規、医療保険制度、介護保険制度の概要、個人情報保護、電子カルテシステム、医療機関の安全管理、院内感染予防、医学・薬の基本知識、診療録の記載事項・院内帳票・各種診断書・証明書・申請書作成などが出題範囲となります。

試験方法は在宅受験となり、計算機や資料を用いて回答が可能です。指定の筆記用具(BまたはHBの黒鉛筆)を用意しておきましょう。

医師事務作業補助者の将来性

医師の働き方改革などの影響もあり、医師事務作業補助者(ドクターズクラーク®️)の将来性は非常に高いでしょう。すでに実際の医療現場では、医師の負担を軽減し、効率的な業務運営を実現するための重要な役割を担っています。医師が医療に専念することができるため、医療の質向上にも役立ち、患者さんにとっても大きなメリットがあります。

国としても力を入れており、厚生労働省では2008年から、病院で働く医師の負担を軽減するための対応として医師事務作業補助体制加算が新設され、「医師事務作業補助者」の配置を評価対象に加えています。2016年からは対象病院の範囲が拡大し、「医師事務作業補助者」のニーズはますます高まっています。

参考:厚生労働省「医師事務作業補助体制加算について」

医師事務作業補助者の導入効果4選

医師事務作業補助者を導入することは、医療の現場において大きなメリットです。具体的にどのような効果があるのか4つ紹介します。

チーム医療の必要性

医師事務作業補助者を導入することで、医師の業務負担を大幅に軽減できるメリットがあります。カルテの作成、患者さんの情報管理・整理といった診療以外の事務作業を任せられるため、医師は時間とエネルギーを診療活動に集中できるでしょう。

医師の業務を削減することは、医療ミスや医療過誤といったトラブルだけでなく、バーンアウトを防ぐことも目指せます。

医師事務作業補助体制加算を得られる

入院診療を行っている医療機関にあっては、医師事務作業補助者を配置し、勤務医負担軽減計画を策定しているなど、一定の条件を満たす医療機関は、診療報酬として「医師事務作業補助体制加算」を得られます。医師事務作業補助体制加算を獲得することで、医師事務作業補助者の人件費が国から補助されるため、医療機関は医師事務作業補助者の人件費相当分の加算収益を得ることが可能です。

コストを抑えながらも医師の負担を減らせるメリットがあります。

業務の効率化が図れる

医師事務作業補助者の導入によって、医療機関の業務効率を大幅に向上できるでしょう。医師がこれまで担っていた事務作業が軽減されることで、患者さんの対応に十分な時間を確保できるようになります。

さらに、医師は空いた時間を研修や学会への参加などに使うことも可能です。診療の質が向上するだけでなく、医師のモチベーションややりがいの向上にも大きく寄与します。

患者満足度の向上を目指せる

師事務作業補助者の導入は、患者満足度の向上にも役立ちます。医師が診療に集中できるようになるため、患者さん一人ひとりに対する診療時間が増加し、より丁寧な対応が可能となるでしょう。患者さんも医師からの十分な説明によって、より納得して診療を受けることができます。

また、一人ひとりの患者さんの満足度を上げることにより、よい口コミや評判が生まれ、リピーターや新規患者の獲得につながる可能性があるでしょう。集患対策にも役立ち、結果として経営状況の安定化を目指せます。

医師事務作業補助者を導入する際の注意点

医師事務作業補助者のメリットを最大限活かすためには、正しい運用が必要です。実際に医師事務作業補助者を導入する際に気をつけておきたいポイントを解説します。

医師事務作業補助者の業務範囲を正しく理解する

医師事務作業補助体制加算の施設基準で規定されている「医師事務作業補助者」が行える業務内容は、「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」にもとづいて、医療機関ごとに明確に定める必要があります。医師以外から指示された業務や、診療報酬の請求事務など医療事務が行う業務などは対応できません。

医師事務作業補助者の業務範囲は、本人だけでなく医師や看護師など一緒に働くスタッフも正しい知識を持ち、範囲を超えた業務の指示しないことが大切です。医師事務作業補助者を導入する際には、全員が正しい知識を身につけましょう。

【医師事務作業補助者が行える主な業務の範囲】

・医師の指示にもとづく、カルテや医療文書等の入力代行
・診察前の問診や診察後の説明補助、患者さんに対するサポート

人材の選定を慎重に行う必要がある

医師事務作業補助者には、ある程度医療に関する専門的な知識を持つ人材を選定しましょう。医学用語や診療の基本的な流れを把握していて、医師の指示を正確に理解し対応できる人材を選ぶことが大切です。医療業界の経験や知識がまったくない人材の場合、教育に時間を要し、かえって業務効率の低下を招く可能性があります。

また、医師・看護師・患者さんなどたくさんの人と関わる職種のため、コミュニケーション能力も大切です。

医師事務作業補助者の教育・研修体制を整備する

医師事務作業補助体制加算の施設基準では、医師事務作業補助者を新たに配置してから6カ月の研修期間内において、医師事務作業補助者として業務を行ううえでの基礎知識を習得するための32時間以上の研修(職場内研修を含む)を実施する必要があります。

医師事務作業補助者の導入効果をより上げるために、人材の研修体制を整えることも大切です。優秀な人材として長く働いてもらうためには、医師事務作業補助者のキャリアパスを明確にし、研修など知識向上の機会を用意するといった対策が欠かせません。

外部から人材を導入する際は、スタッフとの交流の機会などを提供すると人間関係の構築にも効果的です。人材を採用し、院内に導入して終わりではない点に注意しましょう。

医師事務作業補助者に求められるスキル

医師事務作業補助者に求められるスキルを知っておくことで、よい人材を見極める際に役立ちます。これから医師事務作業補助者を導入したいと考えている病院経営者様は、ぜひ参考にしてください。

コミュニケーションスキル

医師事務作業補助者には、医師の指示を正確に理解し周囲のスタッフと協力しながら業務を行う、コミュニケーションスキルが欠かせません。

医師事務作業補助者は日頃から、医師をはじめ看護師や患者さんなど非常にたくさんの人と関わる職種です。職場では医療に関する専門用語や難しい指示も飛び交い、患者さんと接する際には、医療知識がない方でも理解できる簡潔な言葉選びが求められます。

関わる人に合わせて、柔軟かつ円滑にコミュニケーションをとれる人材は、とくに医師事務作業補助者として活躍してくれるでしょう。

医療に関する専門的な知識

医師事務作業補助者が、医師の指示を正確に理解し適切に対応するためには、医療に関する専門的な知識が必須です。用語だけでなく、診療の基本的な流れなど現場に精通した知識も求められます。

また、医療に関する知識は一度覚えて終わりではなく、随時更新が必要です。最新の情報を集める情報収集能力、継続的な学習スキルなどを持ち合わせる人材を選ぶとよいでしょう。

文書作成のスキル

ドクターズクラーク®️の業務には、診療記録や紹介状、報告書の作成などがあり、文書作成スキルが必須です。正しい日本語やフォーマットなどを理解し、誤字や脱字のない文書を作成できる人材が向いています。

手書きではなく、パソコンを使って文章を作成するケースも多いです。WordやExcel、電子カルテシステムなど使用するツールも多岐に渡るため、これらを使いこなせるレベルのIT知識を有する人がよいでしょう。

医療業界での経験

過去に医療業界での経験がある方は、ドクターズクラーク®️を目指すに当たり大きなアドバンテージがあるといえます。経験がある人材の方が、医療現場特有の流れや文化を理解しやすく、スムーズに業務を遂行できる可能性が高いためです。

医療現場で鍛え上げた緊急時の対応力なども、重宝すること間違いありません。医師事務作業補助者を導入する際は、医療事務や看護助手など医療現場での実務経験があるかどうかも確認しましょう。

人材採用のコスト削減!ソラストの医事関連受託サービス

病院経営者様、開業医様の中には、人材のコストがネックとなり、採用を進められないケースがあります。この課題を解決するためには、ソラストの医事関連受託サービスを活用するのがおすすめです。

ソラストでは、医師事務作業補助者をはじめとする優秀な医療人材を多数抱え、受託サービスを展開しています。自院での採用ではなくアウトソーシングすることで、質のよい人材を早期に確保でき、業務効率の向上につながるでしょう。

医師事務作業補助者を導入し、業務効率化を目指そう

医師事務作業補助者は、医師から指示を受けて医師の業務をサポートする職種。そのため、業務委託では不可ですが、直接雇用のほか派遣職員でも業務が可能です。業務効率と医療の質を上げていくために、重要な役割を担っています。業務量が多く、超過勤務や医師のストレスが経営課題となっている病院やクリニックの場合は、早期に医師事務作業補助者を導入し解決していくことをおすすめします。

コスト面などが課題となり、すぐに自院で人材を採用できないケースがあるのも事実です。そんなときには、ソラストの医事関連受託サービスを活用し、課題解決に取り組みましょう。医師事務作業補助者の他、医療事務や病歴関連業務など、質の高い人材がそろっていますので、詳しくは以下をご覧ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
お役に立つ情報を提供しています。

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