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病院が潰れる前兆は?開業医やクリニック経営者必読の潰さない対策法を解説

公開日/2024.06.29 更新日/2024年7月9日
病院が潰れる前兆は?開業医やクリニック経営者必読の潰さない対策法を解説

長年続いた病院であっても、突如潰れてしまうケースが見受けられます。潰れる病院には共通した前兆があらわれやすいため、早い段階から対策を打つことが大切です。本記事では、病院が潰れる前兆や倒産の主な原因、病院の経営を安定させるための対策をご紹介。病院の経営者様、開業医様はぜひ参考にしてください。

倒産する病院の前兆3選

倒産する病院の前兆3選

倒産する病院は、患者さんの数の減少やスタッフの離職率増加などいくつかの前兆がみられます。ここでは、病院が潰れる際に見られる3つの前兆を見ていきましょう。

患者さんの数が減少している

患者さんの減少は病院の収益に直結するため、倒産する大きな前兆の1つです。原因としては、地域社会での信頼度の低下や、他院との競争に負けている可能性が考えられます。

また、治療方法や医師の対応が時代に合っていないといった可能性も大きいです。患者さんの減少を食い止めるためにも、ニーズに応える医療の提供や地域社会との連携強化を意識していきましょう。

スタッフの離職率が高い

経験豊富なスタッフが流出することで、医療の質の低下を招きます。残ったスタッフの負荷が高まり、チームの士気が低下するなどさまざまな悪影響を及ぼすでしょう。

また、不足した人員を補うために新しいスタッフの採用する場合は、採用・研修の費用も必要です。結果的に、離職率の高い職場はチームの統率が取りづらくなり、経営にも大きな影響を与えます。

病院の悪い口コミや評判が多くなっている

誰でも簡単に情報へアクセスできる時代であるため、インターネット上の悪い口コミや評判が増えると、新たな患者さんの獲得は困難を極めます。また、一度書き込みが行われると悪評は瞬く間に広がり、イメージを払拭するのは大変です。

悪い評判は病院の経営状態に大きな打撃を与え、患者さんの獲得のみならず、優秀な医療スタッフを採用する際の障害にもなり得ます。

病院が潰れる原因は?

病院が潰れる原因は、医師のスキル・知見不足や立地条件、広報・宣伝不足などさまざまです。実際に病院が潰れてしまう原因を6つご紹介します。

医師のスキル・知見が不足している

医師のスキルは、その病院で提供する医療の質に直結します。医師の技術や知見の不足は、病院経営において致命的な問題です。専門性が高い治療を求める患者さんが増えてきているため、最新の医療知識や技術の習得は常に行う必要があります。

これらをおろそかにすると他の病院との差が生まれ、結果として患者さんの数が減少。収益源が減ることにより、倒産の危機に陥ります。

病院が不便な立地にある

立地の利便性は病院選びにおける重要な要素です。駅から遠い、市街地から離れているなど交通の便が悪い場所にある病院は、患者さんの選択肢から外されてしまいます。

また、高齢化社会が進むにつれて、公共交通機関での移動が困難な人たちが多い地域では、アクセスの良さがとくに重要です。立地の不利は競合他院との比較で顕著なため、開業の段階からしっかりとした検討を行う必要があるでしょう。

職場で人間関係の問題が発生している

病院で働くスタッフの人間関係がよくないと、業務効率の低下につながる可能性があります。不十分なコミニュケーション によるミスの発生や、患者さんに提供する医療サービスの質の低下などです。優秀な人材の離職にもつながるでしょう。

病院内の人間関係を改善するために、コミニュケーションの場を設ける、チーム編成を見直すなどの対策が必要です。スタッフ任せにするのではなく、管理職や経営者から適切なサポートを行いましょう。

資金繰りが悪化している

資金繰りが悪化すると最悪の場合経営が傾き、倒産に追い込まれる可能性があります。問題解決には、病院の収支状況を正確に把握し、不要な支出を削減することが重要です。

対策として、税理士などに相談したり医薬品・医療材料の価格交渉や共同購入をしてコスト削減を行ったり、収支状況の改善につながる運営方法の検討を行いましょう。効率的な運営を行うことは、医療サービスの質を維持して経営状態の安定につながります。

広報・宣伝が機能していない

広報活動が十分でない場合、新たな患者さんの獲得は困難を極めます。無作為に広告を打つのではなく、広告・宣伝にかかる費用と得られる効果のバランスを考えた適切な計画が重要です。

Webサイトやソーシャルメディアを活用し、競合他院との差別化が図れる広報・宣伝を行いましょう。他の病院との差別化ができないと広告費用だけがかさみ、患者さんの獲得の機会を逃す可能性があります。

病院の後継者がいない

経営者の高齢化によって起こる後継者問題は、病院の存続に直結する深刻な課題です。後継者が見つからない病院は、閉院や他の医療機関への統合を余儀なくされるケースがあります。

また、病院が閉鎖することで、地域住民の医療機関へのアクセスが悪化するといった社会的課題も忘れてはいけません。後継者問題をすぐに解決することは難しいため、第三者への継承を含めた長期的な計画を立てていきましょう。

医療施設動態調査からみる医療機関数の推移

全国の病院の数
令和3年10月1日時点 令和4年10月1日時点 1年間の減少数
8,205 8,156 49
参考:厚生労働省の「令和4年医療施設(動態)調査(表2施設の種類別にみた施設数の動態状況) 」

厚生労働省の「令和4年医療施設(動態)調査 」によると、令和3年から令和4年の1年間で、全国の病院の数は49院減少 。規模の小さな一般診療所についても、合計の数は増加していますが、7,281院が減少しています。病院の再編・統合や後継者不足などさまざまな理由がありますが、なかには倒産が理由のケースもあります。

医療機関の廃業率は、一般企業に比べると高くはないものの、倒産に追い込まれる医療機関は少なくありません。後継者不足や医療技術の進化、患者さんのニーズの変化などが医療機関の経営環境を厳しくしていると考えられます。とくに小規模のクリニックや開業医は、資金繰りの問題や人材不足も倒産の原因の一つです。

安定した経営を行うためには、医療機関の倒産動向を理解し、早期に対策を講じることが有効でしょう。

病院を潰さないための対策6選

病院を潰さないための対策6選

経営を安定させ、病院を潰さないためには、スタッフの育成や経営状態の把握など総合的な対策を行うことが大切です。やっておくべき対策を6つご紹介します 。

スタッフの医療技術の向上をサポートする

働くスタッフの医療技術の向上は、病院経営において不可欠な要素の1つ。医療スキルそのものが病院の評価へつながるためです。

働くスタッフに対して、定期的な研修や外部の専門講師を招いてのセミナーなどを開催し、スキルアップの場を設けていきましょう。学習の機会を用意することは、モチベーションアップにも役立ち、離職率低下などプラスの要素ももたらします。

開業地調査をしっかり行う

病院経営の成功には、集患しやすい立地を選んで開業することが大切です。地域の人口統計や競合の医療機関の分析を行い、その地域でニーズに合った医療サービスの提供が可能かどうかを見極めましょう。

また、駅や商業施設の開業など、将来の地域発展の見込みを考慮することも重要です。長期的な視点で地域の成長を予想することが、持続的な経営につながります。

スタッフの採用と育成に注力する

質の高い医療サービスを提供するには、優秀なスタッフの確保と各スタッフの知識・スキルの向上が必要です。定期的な研修や勉強会で、知識や技術を身につけさせる場を設けます。

また、専門性だけでなく、チームとして円滑な仕事を進めるためのコミニュケーションも欠かせません。働きやすい環境を整えてスタッフの満足度を高め、離職率を低下させていきましょう。

経営状態や患者動向を把握する

病院の経営維持と発展のためには、経営状態の正しい把握と患者動向の詳しい分析が不可欠です。市場調査データの活用や患者さんへの満足度調査などを実施し、地域で求められる医療ニーズを把握しましょう。経営戦略の策定においては、データにもとづいた判断が必要です。

長く親しまれる病院を運営するために、経験や勘にたよる判断は極力避けるようにしてください。また、客観的な数値は、資金繰りの問題や将来的な投資計画にも活用できます。

広報活動に注力する

適切な広報活動を行うことで、病院の地域社会での存在感を高め、患者さんの数を増やすことにつながります。現代においては、インターネットやSNSを利用した情報発信が重要かつ効果的です。

健康に関する有益な情報を定期的に発信することで、患者さんからの注目を集められます。病院のホームページやSNSがある場合は、診療や休診日などの情報を常に最新の状態に保つことも大切です。患者さんからの信頼を得て、選ばれる病院になるための基盤作りに役立ちます。

第三者に医療継承を行う

後継者不足で悩んでいる病院は、第三者による医療継承も視野に入れましょう。周囲によい人材が見つからない場合は、専門の仲介業者を通じて後継者を見つけることが可能です。

仲介業者によっては、人材紹介だけなくスムーズに経営を移行するための医療機関の価値評価、運営の透明性の確保などのサポートも受けられます。早い段階から適切に準備を進めることで、病院が潰れることなく、地域社会を支える医療機関としての使命を全うできるでしょう。

潰れる前兆を見逃さず、適切な対応で病院を存続させよう

病院が潰れる際の前兆や、倒産させないための対策などについて解説しました。病院経営を取り巻く環境は、時代の流れに合わせ刻々と変化しています。地域社会に根づいた病院として経営を続けていくために、医療知識の他にマネジメントや財務管理などの知識も重要です。今回紹介した対策をしっかりと行い、安定した経営を目指しましょう。

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