医療事務の採用は難しい?理由や具体的な対策を医療機関の経営者向けに解説


医療事務の採用が難しい、と悩んでいませんか。なぜ医療事務の採用ができないのか、その理由や具体的な対策方法を、医療機関の経営者向けに分かりやすく解説します。また、採用後にスタッフの定着を促す施策や育成のための取り組み、医療事務の人材を確保するためのサービスについても紹介します。
医療事務の採用が難しい3つの主な理由
医療事務の採用が思うように進まない原因には、上記の3つが考えられます。それぞれについて詳しく解説します。
医療業界における人手不足の現状
医療業界に限らず、少子高齢化の影響によって日本全体で労働人口が減少しています。これに逆行して、クリニックの数や外来医療のニーズは増加傾向にあります。個人の生活習慣の変化や高齢化社会の進行によって医療ニーズが増えているにもかかわらず、求職者が減少して人手不足につながっているのが現状です。
また、年々医療技術は進歩しており、高度な技術を扱うための専門性が求められるようになっています。より専門的な知識やスキルを持つ人材が必要とされる中、院内で適切な教育体制を整えられず、新規スタッフの採用が進まないという課題もあります。
医療事務特有の労働環境の問題
クリニックで働く医療事務の場合、混雑状況によっては定時で終われないケースもあります。クリニックでは民間企業と異なる独自の営業時間を設定しており、お昼の休憩が長く終業時間が遅めであるため、子育てや家事、介護との両立が難しいと感じてしまう層も多いです。
病院の医療事務は職員の人数も多く、分業制が取られていることが多いものの、クリニックでは人数が少ない分、1人のスタッフが対応する業務の範囲も広くなりがちです。そういった点も、人によっては負担に感じる可能性があるでしょう。
また、医療事務は医療機関の窓口として働くので、日々の業務の中で患者さんからクレームを受ける場面もあります。多くの患者さんの受付や会計対応をする分、院内感染のリスクも抱えており、精神的なストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
他業界への人材流出
他業界では働き方の多様化や賃上げの動きが急速に進んでおり、医療業界から医療事務人材が流出する原因の一つになっています。とくに、若年層や非正規雇用の人を中心に給与相場が上がっている中で、医療事務の給与への不満がモチベーション低下に直結し、結果として医療事務の人手不足を招いていると考えられるでしょう。
医療機関は、物価や賃金の上昇を診療報酬に転嫁できないため、医療事務の給料も他業界に合わせて賃上げすることはできません。インフレや人手不足を理由に、物価や賃金の上昇を価格に転嫁して給与を上げられる一般企業の賃金上昇に追いつけず、賃金が低く抑えられてしまいます。
また、業界によってはリモートワークの導入も進んでおり、働き方に魅力を感じる子育てや家事を担う層が流出してしまうケースもあります。
このような点から見ると、医療事務の労働条件は必ずしもよいとは言えず、賃金や働き方の多様性も他業種と比べて見劣りしてしまい、採用難につながっていると考えられるでしょう。
医療事務の採用を成功させる3つのポイント

医療事務の採用が難しい中であっても、上記の3つのポイントを知っておくことで採用がしやすくなる可能性があります。
求職者に選ばれるクリニックになる
採用を円滑に進めるために、医療事務職を希望する求職者に選ばれるクリニック作りを目指しましょう。たとえば、できる限り残業が出ないよう労働時間を見直す、スタッフ全員が休憩をしっかりと確保できるようにする、給与体系を見直すことなどに取り組んで、スタッフにとって働きやすい環境を作ることが大切です。
加えて、周囲の医療機関や店舗の給与を参考にして、自院の募集条件が見劣りしていないかどうかを確認するのも有効に働きます。働くスタッフの年齢層がメリットを感じられる、育児休暇などの福利厚生を充実させることも重要なポイントです。
また、予約システムや自動精算機などを導入して一部の業務を効率化させることで、患者さんの待ち時間を短縮できたり、クレームを減らせたりする可能性があります。結果として、医療事務スタッフの業務負担を減らすことにもつながるでしょう。
効果的な求人対策を用意する
医療事務の採用が難しい状況で、今までと同じやり方で採用を続けるのは得策ではありません。現状の採用方法を見直し、他業界の企業や医療業界の競合と比較して魅力的に映る採用方法を講じてみましょう。
たとえば、「募集要項を具体的に記載する」「求人情報に魅力的でキャッチーなタイトルをつける」「給与や待遇・福利厚生などの雇用条件を見直す」などの方法がおすすめです。
また、ハローワークや求人サイト、人材紹介サービスなど、以下のようなさまざまな求人媒体を利用して、採用の幅を広げることも有効に働きます。
・求人検索エンジンで医療事務募集をかける
・リファラル採用(従業員からの知人紹介採用)、アルムナイ採用(元従業員の再雇用制度)を取り入れる
・縁故採用を取り入れる
・医療事務職の人材紹介サービスを活用する
採用面接のコツを知る
優秀な医療事務の人材を採用するためには、応募者のスキルや経験に加えて、クリニックの雰囲気にマッチする人材かどうかを見極めることが重要です。自院が求める専門知識やスキルを保有しているかを書類選考で確認したうえで、面接では応募者の経歴やスキル、過去の職務経験など履歴書だけでは分からない部分を深掘りし、応募者の強みやクリニックとの適合性を見極めましょう。
また、医療事務は医師や看護師など他スタッフとの連携が多いため、チームワークを大切にできるかどうか、面接時の態度や会話から判断する必要があります。コミュニケーション能力やチームに適応できるかどうかを、短時間で把握することが面接における大きなポイントとなるでしょう。
なお、複数の応募があった場合には、採用したい応募者に対しては辞退を避けることを考える一方、不採用とする応募者は「将来の患者さん」であると考え、どちらも適切に面接対応をする必要があります。
採用後の医療事務の定着と育成のための取り組み

医療事務の採用活動では、優秀な人材を確保して終わりではなく、長く定着して働いてもらえるように離職を防止する取り組みも必要です。とくに医療事務は「多忙で低賃金」というイメージを持たれやすいため、よりポジティブなイメージを持ってもらえるように労働条件や労働環境を見直して整える必要があります。
たとえば、医療事務スタッフの業務負担を減らす取り組みとして、電子カルテや予約システム、自動精算機などの導入を進めることがおすすめです。また、新規医療事務スタッフの定着・育成を図るために、教育体制やマニュアルを整備しておくことも離職防止につながります。教育スケジュールやチェックリストの作成、業務マニュアルの整備などを進めていきましょう。
医療事務の採用でお悩みならソラストのサービスがおすすめ
医療事務の採用がなかなか進まない医療機関経営者さまには、ソラストのサービスの利用がおすすめです。採用のお悩みを解決する、3つのサービスについて詳しく紹介します。
医事関連人材派遣・紹介サービス
ソラストの「医事関連 人材派遣・紹介サービス」では、医療事務はもちろん、医師事務作業補助者や看護助手など、医療機関で必要とされる各人材を派遣・紹介しています。自院だけで採用活動を進めるのと比べて、年間を通じて安定した人材を供給することができますので、急な欠員の際でも安心です。経験やスキル要件など、それぞれのクリニックのニーズに対応する優秀な人材を派遣・紹介します。
【サービス内容】
サービス名 | 特徴 |
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人材派遣サービス | 医療機関の指揮命令下で働くスタッフを派遣する |
紹介予定派遣サービス | 派遣期間後(最長6カ月)の直接雇用を前提にスタッフを派遣する |
人材紹介サービス | ソラストが書類選考や面接を実施し、医療機関に適した人材を紹介する |
教育サービス
ソラストでは、各医療機関の医療事務スタッフに向けた教育サービスも提供しています。スタッフのレベルに合わせてカリキュラムを設定しており、診療報酬や病院接遇といった専門スキルを身につけるための教育を実施します。新規スタッフはもちろん、キャリアアップを目指すスタッフも対応可能です。講師派遣サービスも対面形式やオンライン形式があり、経験豊富な講師から学べます。
また、学ぶだけで終わらせることなく、技能認定振興協会(JSMA)による認定試験・資格付与を行い、教育研修の効果測定を行うこともできます。スマートフォンで学べる自立型Web学習サービスは、医療事務スタッフの育成におすすめです。
サービス名 | 特徴 |
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教育コンサルティング | 医療機関に適したスキルマップ・キャリアマップを提案し、人材課題に関する最適なアプローチを策定する |
講師派遣サービス | 対面形式またはオンライン形式で経験豊富な講師を派遣し、診療報酬や病院接遇に関する講義を実施する |
技能認定試験+資格付与 | 技能認定振興協会(JSMA)による認定試験・資格付与をおこない、教育研修の効果測定を実施する |
リモート医事サービス
ソラストの「リモート医事サービス」は、レセプト点検やオンライン請求業務をリモートで代行するサービスです。専門知識や経験が必要とされるレセプトは、ミスが許されない重要な業務といえます。ソラストでは、経験豊富なスタッフがリモート代行することによって、クリニックの運営をより安定して進められるようにサポートします。
レセプトを点検するサービスを始め、訪問診療の算定を含めての業務をトータルサポートするサービスや、レセプト点検、修正、診療報酬請求までをワンストップでサポートするプランもご用意しています。クリニックのニーズに合わせてご検討ください。
サービス名 | 特徴 |
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レセプト点検診療報酬請求まるっとプラン | レセプト点検・修正から診療報酬請求まで、ワンストップでサポートするプラン |
レセプト点検訪問まるっとプラン | 診療報酬請求業務だけではなく、訪問診療の算定も含めて業務をトータルサポート |
レセプト点検プラン | ソラストの知見をもとに、契約期間中何度でもレセプトの点検を実施するサービス |
医療事務の採用についてよくある質問
医療事務の採用の際に、よくある質問について分かりやすくお答えします。
Q.医療事務の経験がない未経験者でも採用できる?
医療事務は就業するために学歴や資格は必要なく、未経験者であっても仕事を始めることができます。厚生労働省の職業情報提供サイトによれば、医療事務就業者の約50%が、入職前の実務経験についてとくに必要ないと回答しています。資格の取得や実務経験は必須ではなく、未経験者でも医療事務の採用は問題ないといえるでしょう。
なお、経験を問わず医療事務の採用を検討する場合、院内では未経験者の採用も見越した教育体制を整えておくことが重要です。
Q.医療事務の採用コストを抑える方法はある?
ハローワークや求人検索エンジンなど無料で利用ができる媒体を活用したり、縁故採用やリファラル採用を検討したりするとよいでしょう。また、人材紹介サービスは一般的に成果報酬型のものが多いため、実際に採用に至るまでは費用がかかりません。
Q.医療事務の離職を防ぐにはどうすればよい?
医療事務が職場環境や働き方に魅力を感じられるクリニックであれば、離職を防ぎやすくなります。業務を効率的に進められる体制を整える、教育制度やマニュアルを整備する、職場の人間関係がよいなど、働きやすい環境を整えるようにしましょう。スタッフ一人ひとり求めるものは異なるものの、クリニックの持つ強みを活かし、常に改善していくことをおすすめします。
ポイントを押さえて、医療事務の採用を行いましょう
高齢化が進み、労働人口の減少が叫ばれる中、医療機関は賃上げが難しく優秀な人材が他業界に流れていきやすい状況に陥っています。医療事務の労働条件はよいとは言えず、採用難で人材が確保できない、と悩んでいる病院やクリニックもあるでしょう。しかし、採用が難しい中であっても希望者が絶えない、離職者が少ないクリニックはあります。採用を成功させるポイントを知り、採用後の定着、育成の取り組みなどを行いましょう。
医療事務の採用でお悩みの医療機関経営者さまには、ソラストのサービスの活用がおすすめです。医事関連 人材派遣・紹介サービスを始め、教育サービスやリモート医事サービスなど、採用の困りごとを支援する多数のサービスをご用意しています。ぜひお気軽にご相談ください。