クリニックの集患施策8選!対策の重要性や開業医が押さえるべき心構えを解説
クリニックの安定した経営に欠かせない「集患」。開業したばかりの経営者の中には、集患がうまくいかず悩んでいる方もいるでしょう。今回は、クリニックの集患対策として行うべき施策を8つご紹介。集患対策が必要な理由や重要性、対策を実施する際の心構えなども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
集患とは?クリニックが対策を講じるべき理由
集患とは、クリニックや病院などが新規の患者さんを獲得するために行うさまざまな対策を指します。どんなに優れた医療サービスを提供できても、クリニックを開業するだけでは患者さんに思うように来院してもらえません。
クリニックや病院は医療機関ではありますが、利益が上がらなければ経営の存続が危うくなります。そのため、集患対策は長く安定してクリニックを経営するために欠かせないでしょう。
なお、集患と似た言葉に「増患」がありますが、増患は既存の患者さんのリピート率や来院頻度を高めることを目指します。
クリニックが集患の対策を行うべき理由
・提供する医療サービスの質を上げるため
・地域医療の発展に貢献するため
集患は、クリニックの経営を安定させるためのもっとも重要な要素の一つです。新しい患者さんを継続的に獲得することで、安定して収益を得られる状態を作れます。収益が安定すると人材の確保や教育、設備などに投資できるようになり、提供する医療サービスの質の向上につながるでしょう。
また、集患は患者さんのニーズを把握する手段でもあります。診療科目に合う患者さんを集めて健康状態を理解し、求められる診療方針を調整する手段にもなりえるでしょう。その地域に必要とされる医療を提供することでクリニックのブランド力が強化され、地域医療の発展にも役立てられます。
クリニックの集患をするためにまず行うべきこと
ターゲット層の明確化と市場調査
クリニックの集患戦略の基本は、メインのターゲット層を明確にし、求められるニーズを把握することです。ターゲット層の患者さん目線に立って市場調査を行い、具体的に必要とされている医療サービスを把握しましょう。
クリニックの強みと弱みの分析
患者さんのニーズを把握した後は、クリニックの強みと弱みを分析します。
強みを把握してクリニックの得意な点や特徴を明確にしましょう。今ある強みをさらに強化できれば、「このクリニックで診察を受けたい」「また利用したい」と患者さんに感じてもらえ、リピーターの増加を目指せます。
一方、弱みを認識することも重要です。弱い部分を放置せず改善することで、新規の患者さんの獲得や満足度向上につながるでしょう。
集患目標の設定
より着実に集患を行うためには、具体的な目標の設定も大切です。明確な目標を掲げたうえで集患対策を進めることで、スタッフ全員の意識が統一され、同じ方向を向いて努力していけます。
また、目標を設定することで、達成に向けた具体的なアクションプランを考える際にも役立つでしょう。
【オンライン】クリニックの集患におすすめの施策4選
インターネットの普及に伴い、オンラインを活用したクリニックの集患施策が注目されています。オンラインのシステムやツールを使用したクリニックの集患対策を4つご紹介します。
Webサイトの最適化を行う
集患のために、クリニックのホームページに掲載する情報を常に最新の状態に保ちましょう。スマートフォンやインターネットの普及により、自分が住む地域の近くにある医療機関の情報を調べてから受診する患者さんは増加傾向にあります。
ホームページなどのWebサイトがなかったり、診療情報が古いまま更新されていなかったりすると、患者さんは不信に感じ、別の医療機関を選んでしまう可能性があります。診療科目や扱っている主な疾患、診療時間などの情報を充実させてWebサイトを最適化し、集患を目指しましょう。スマートフォンやパソコンなど、どのデバイスでも快適に閲覧できるようにすることも重要です。
SEO対策・MEO対策をする
ホームページを作成しただけでは検索の上位に上がりにくく、集患につながらない場合があります。SEO対策(※1)を行い、クリニックのWebサイトが検索エンジンの上位に表示されるようにしましょう。
SEO対策として、キーワードの選定とメタタグ(※2)やタイトルタグ(※3)の最適化が重要です。内部リンクの構築や外部リンクを獲得し、定期的にコンテンツ更新を行うことも欠かせません。検索順位の維持だけでなく、さらなる向上を目指しましょう。
また、MEO対策とは、クリニック名をGoogleマップで検索した際に検索結果の上位に表示させるための施策を指します。MEO対策のためには、Googleビジネスプロフィールに記載するクリニックの情報を最新の状態にする、クリニックの印象が伝わる外観・内観の写真をアップする、といった対応が有効的です。患者さんはマップアプリからクリニックの場所を探す場合もあるため、SEO対策と合わせて上位表示を目指しましょう。
【用語解説】※1 SEO対策 | Google等検索エンジンで検索した際に上位表示させるために行う施策全般。「Search Engine Optimization」の頭文字をとった言葉。 |
※2 メタタグ | そのWebページに掲載されている情報を検索エンジンやブラウザ等に伝えるために使うHTMLコード。 |
※3 タイトルタグ | そのWebページのタイトル情報を検索エンジンに伝えるためのHTMLコード。 |
SNSを活用する
インターネットで検索しない層にも効果的にアプローチするために、SNSを活用してみましょう。SNS広告はターゲットである患者さんに効率的よく届けられるため、クリニックの集患の大幅な向上も期待できます。
定期的な投稿はもちろん、患者さんの暮らしに役立つ情報の発信もおすすめです。患者さんに興味を持ってもらうことで、集患を目指せます。
Web広告を活用する
Web広告で、クリニックの集患を効果的に促進しましょう。Web広告は、特定のターゲット層に対してピンポイントで広告を配信できる便利なツールです。広告の効果をリアルタイムで測定し、今後の戦略を迅速に調整できる点もメリットといえます。
また、地域ターゲティングを行うことで、より効率的な集患を目指せるでしょう。
【オフライン】クリニックの集患におすすめの施策4選
地域で信頼されるクリニックを目指すうえでは、オフラインの集患施策も欠かせません。地域の患者さんと直接触れ合えるような機会も作っていきましょう。
看板や街頭広告を設置する
インターネットが普及した現代においても、街中での看板の設置や街頭広告の活用は欠かせません。視覚的に目立つデザインと簡潔でわかりやすい所在地情報やメッセージを選び、見る人の印象に残る看板を立てましょう。人通りが多い場所や、ターゲット層が多く通るエリアを選んで設置するのが成功の鍵です。
また、よい場所に設置されていても汚れていたり、色あせていたりしては印象が悪くなります。定期的なメンテナンスで、常に清潔で見やすい状態を保ちましょう。地元の規制や条例を確認し、不適切な看板にならないよう注意してください。
チラシや雑誌等各媒体に広告を掲載する
チラシや雑誌、新聞などの媒体に広告を載せることも、クリニックの集患に有効です。メインのターゲット層に合わせ、とくに目に触れる機会が多い媒体を選びましょう。看板と同様にデザインを吟味し、わかりやすい広告にすることが大切です。
チラシは特定エリアだけでなく少し離れた地域にも配布し、集患はもちろんクリニックの認知向上も目指しましょう。
イベントやセミナーを開催する
地域の住民に参加してもらえる、イベントやセミナーを積極的に開催しましょう。日頃の生活に役立つ医療の知識や、健康に関する情報を提供することで、クリニックの専門性や信頼性をアピールできます。
参加者にクリニックの雰囲気や医師の人柄を直接感じてもらえる絶好の機会の1つです。イベントやセミナーの開催をSNSやWebサイトで告知し、報告することでオンラインでの集患効果アップも目指せます。
紹介制度を導入する
既存の患者さんが新しい患者さんを紹介する、紹介制度も活用してみましょう。インターネット上でも、口コミを見て受診を検討する患者さんは一定数いると考えられます。
実際に受診した患者さんの声は貴重であり、そのクリニックを受診するかどうか悩んでいる新規の患者さんにとって大切な判断材料になるでしょう。
クリニックの集患を行う際の5つの心構え
クリニックが集患を行う際に知っておきたいポイントについて紹介します。
医療広告ガイドラインを守る
オンライン・オフラインともに、広告を掲示する際には「医療広告ガイドライン」を守ることが重要です。他の医療機関と比べて自クリニックが優位である広告や、誇張した表現、虚偽の内容を掲示した広告は、医療広告ガイドラインに違反します。
広告で使用可能な表現や内容の範囲をきちんと理解したうえで、適切な広告を打ち出すようにしましょう。
【医療広告ガイドラインの禁止される広告について】※一部抜粋(2) 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
(3) 誇大な広告(誇大広告)
(4) 公序良俗に反する内容の広告
(5) 広告可能事項以外の広告
(6) 患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
(7) 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等
引用:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」
ターゲット層に合う施策を選び実施する
効率よく集患するために、クリニックのメインの患者さん層に適した施策を行うことが大切です。若い世代の患者さんが多いクリニックでは、オンラインでの施策が効果的でしょう。普段からスマートフォンなどで情報を入手することが多い世代であるため、自然とターゲット層に情報を届けることができます。
反対に高齢の患者さんが多いクリニックでは、オンラインだけでなくオフラインの施策にもしっかりと取り組むことで、効率よく集患できるでしょう。
施策実施後は効果検証・改善を行う
集患のための施策を実施するだけで終わりにしては、本当の効果は得られません。患者さんにアンケートを実施し、施策の実行によってどのくらい集患の効果があらわれたのか、患者さんはどの媒体をきっかけに来院されたのか集計を取りましょう。アンケート結果を分析して、改善点はあるか検証することが大切です。
もし、施策を実施したにもかかわらず思ったような集患の効果が出なかった場合には、別の施策に変えたり内容を変えたりしてみるのもよいでしょう。
集患後、リピートにつなげる方法を考える
さまざまな施策を実施した結果、狙ったような集患ができた場合でも、そこで終わりではありません。クリニックの経営を存続するためには、患者さんにリピーターになってもらうことが大切です。
集患した「その先」も見据えて、患者さんからの信頼を獲得できるような診療や、サービスの満足度を上げる取り組みを継続的に行っていきましょう。
スタッフの教育や設備の整備も行う
オンライン、オフラインでの集患施策に加え、来院してくださった患者さんにクリニックで直接提供するサービスの質向上も欠かせない要素です。スタッフの接遇スキルが低いままでは、患者さんは不信感を抱き、「次もこのクリニックにかかりたい」と思えません。スタッフの教育体制を整備し、接遇スキルの向上を目指しましょう。
また、提供する医療サービスの質を高めるために適切な設備投資であれば、迷わず行うべきです。
クリニックで提供するサービスの質を高めると、診療に対する患者さんの満足度向上も目指せます。オンライン予約システムなど、患者さんの利便性を向上させるツールの導入もおすすめです。
ただし、過剰な設備投資に走ってしまうケースもあるため、適切な範囲をわきまえて行うことが重要です。
クリニックの集患は今後どうなる?
インターネットが普及し世の中が変わっていく中で、クリニックの集患のやり方や取るべき施策も変化していくでしょう。ここでは、クリニックの集患の今後について紹介します。
デジタルマーケティングの進化
デジタルマーケティングの進化は、一般企業のみならずクリニックの集患戦略にも大きな変革をもたらすでしょう。WebサイトやSNSなどのオンラインプラットフォームの活用は、今後ますます重要です。
時代に合わせたデジタルマーケティングを積極的に行うことで、データの収集と分析が容易にできます。クリニックのターゲット層である患者さんのニーズや行動パターンを、より正確に把握できるようになり、さらなる集患・増患に役立てられるでしょう。
AIとビッグデータの活用が必須
AIとビッグデータの進化によって、医療分野は劇的に変化しています。AIは患者さんのデータの解析や診療の補助、治療の支援といった領域での活用が期待されます。現在、消化器内視鏡検査やMRIなどで実際に運用されている製品、ソフトウェアもあります。
また、ビッグデータは膨大な患者さんの情報を効率的に管理、解析することができ、運営戦略をサポート。AIとビッグデータを活用することは、未来のクリニック経営において必須となるでしょう。
未来のクリニック経営の展望
未来のクリニック経営はデジタル技術の進化とともに、これまで以上に大きく変わっていくでしょう。AIやビッグデータ解析の導入で患者さんデータの管理や診療の効率化が図られ、遠隔診療やオンライン診療もさらに普及すると考えられるでしょう。
これまで蓄積してきたクリニック経営の経験を基本にしながらも、柔軟な発想と迅速な対応が求められます。
クリニックの集患施策を行って、経営を安定させましょう!
医療機関であっても、患者さんに来院してもらえなければ経営は成り立ちません。インターネットが普及した現代では、オフラインだけでなくオンラインでの集患が重要です。地域住民が必要とする医療ニーズを正確に把握し、ターゲット層に届く集患をしましょう。
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