地域包括ケアシステムの支え手としての役割
日本の医療制度は病院でも診療所でも、患者が受診する医療機関を自由に選べる“フリーアクセス”が特徴です。大病院に患者が集中し過ぎてしまうことにより、待ち時間が増えたり、緊急性の高い重症患者への対応に遅れが出たりする可能性があります。
そういった現状を変える役割を期待されているのが、かかりつけ医です。病院間、病院と診療所との診療体制の分担を図り、まずはかかりつけ医に相談してもらう流れをつくることが進められています。
かかりつけ医は何でも相談できる身近な存在というだけでなく、地域包括ケアシステムの支え手でもあります。
日常の診療に加えて、専門的な治療が必要な患者を他の医療機関につなぐほか、地域医療に関連する社会的・行政活動に参加し、保健・介護・福祉関係者と連携します。一人暮らしの高齢者が増え、家庭や地域で互いに支え合う力が低下しているなか、患者と家族が抱えるさまざまな問題のすべてを医師が一人で解決することは不可能に近いからです。
具体的には、かかりつけ医は地域の高齢者が少しでも長く、地域で安心して生活できるように在宅医療に取り組み、在宅患者に対しては訪問看護ステーションなどと連携してサポートを行います。介護保険が必要となった患者には主治医意見書を書いたり、ケアマネジャーや介護保険施設と連携したりなど、介護の入口部分にも積極的にかかわります。