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医療事務

超高齢社会の地域医療の担い手 かかりつけ医の役割とは?

公開日/2021.09.03 更新日/2024.07.22

急速に進む高齢化と、医療の高度化・細分化によって、かかりつけ医の重要性が注目されています。「健康に関する身近な相談役」「地域における医療と介護の橋渡し役」としての役割と、医療・介護職がいかにかかわればいいのかを説明します。

※この記事は2021年9月3日時点で公開されたアーカイブ記事となります。

地域包括ケアシステムの支え手としての役割

日本の医療制度は病院でも診療所でも、患者が受診する医療機関を自由に選べる“フリーアクセス”が特徴です。大病院に患者が集中し過ぎてしまうことにより、待ち時間が増えたり、緊急性の高い重症患者への対応に遅れが出たりする可能性があります。

そういった現状を変える役割を期待されているのが、かかりつけ医です。病院間、病院と診療所との診療体制の分担を図り、まずはかかりつけ医に相談してもらう流れをつくることが進められています。

かかりつけ医は何でも相談できる身近な存在というだけでなく、地域包括ケアシステムの支え手でもあります。

日常の診療に加えて、専門的な治療が必要な患者を他の医療機関につなぐほか、地域医療に関連する社会的・行政活動に参加し、保健・介護・福祉関係者と連携します。一人暮らしの高齢者が増え、家庭や地域で互いに支え合う力が低下しているなか、患者と家族が抱えるさまざまな問題のすべてを医師が一人で解決することは不可能に近いからです。

具体的には、かかりつけ医は地域の高齢者が少しでも長く、地域で安心して生活できるように在宅医療に取り組み、在宅患者に対しては訪問看護ステーションなどと連携してサポートを行います。介護保険が必要となった患者には主治医意見書を書いたり、ケアマネジャーや介護保険施設と連携したりなど、介護の入口部分にも積極的にかかわります。

医療職、介護職は連携体制が大切

かかりつけ医は、医療と介護の橋渡し役を担うことが求められています。同時に、病院や介護保険施設の医療職、介護職がかかりつけ医の役割を理解しておく必要があります。

病院職員はスムーズに退院調整ができるよう、かかりつけ医と日頃から連携をとっておきます。その際、かかりつけ医から患者を紹介してもらう関係をつくるため、自院の医療体制などの特色を伝えておきましょう。

介護事業所では利用者の急変時、体調を崩した時に対応できるよう、事業所のかかりつけの医師や個々の利用者のかかりつけ医とすぐに連絡できる体制があれば、利用者も介護事業所の方も安心できると思います。また、利用者からかかりつけ医を紹介してほしいといった相談を受けることもあるので、日頃の業務を通じて地域の医療機関の情報を集めておくことが大切です。

超高齢社会では、地域においても多職種連携が求められます。主治医が患者の1つの病気を診る医師だとすれば、かかりつけ医は地域社会をみる医師と言えます。地域に密着して住民を支えることで人々の健康維持や安心につなげることができるかかりつけ医の存在は、地域医療のなかで今後、重要となるでしょう。

新型コロナの流行で高まるかかりつけ医への要望

改めて、かかりつけ医とは何かを考えてみましょう。日本医師会・四病院団体協議会は「健康に関することを何でも相談でき、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近にいて頼りになる医師」と提言しています。かみ砕いて言うと、「調子の悪い時にすぐ診てくれて助言をもらえる医師」ということです。

誰をかかりつけ医とするかは患者の主観によります。頻繁に受診している医師をかかりつけ医と考える方もいるでしょうし、複数の疾患を抱えている場合など、複数の医師をかかりつけ医と感じている方もいるでしょう。かかりつけ医の役割の一つに、患者や家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報の提供を行うということがあります。患者本人のみならず家族や周辺事情を踏まえたうえで、継続的に診てもらえるので、健康な時からかかりつけ医を見つけておくのは得策です。

日本医師会総合政策研究機構が実施した、最新の「日本の医療に関する意識調査※1」では、かかりつけ医がいると回答した人の割合は55.2%と過去の調査から大きな変化は見られませんでしたが、「いないが、いるとよいと思う」との回答割合は全年代で増加しています。新型コロナウイルス感染症の流行拡大のなかで、かかりつけ医を持つことの要望が高まっていると推測されます。

かかりつけ医の探し方がわからない場合は、厚生労働省が運用する医療機能情報提供制度(医療情報ネット)が役立ちます※2。適切な医療機関の選択を支援するもので、都道府県ごとに、医療機関の診療科目、診療日、診療時間のほか、対応可能な疾患・治療内容がわかるようになっています。医師と患者との相性などもあるので、検診やワクチン接種といった受診機会を活用し、探してみるのもいいでしょう。

(提供:株式会社日本医療企画)
以上

※1
「第7回日本の医療に関する意識調査」について(2020年10月7日 日本医師会)

※2
医療機能情報提供制度(医療情報ネット)

図表出典:兵庫県淡路市ホームページ「かかりつけ医を持ちましょう」より

取材協力:厚生労働省医政局総務課 梅田直暉主査

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
サイト管理人
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