環境への取り組み
ソラストグループ長期環境目標
ソラストグループは、「私たちは、人とテクノロジーの融合により、『安心して暮らせる地域社会』を支え続けます。」を企業理念として掲げ、全ての事業活動を通じて社会課題解決への貢献と価値あるサービスを提供し続けることを目指しています。この考えの下、今後も社会とともに成長していくために、特に優先的に取り組むべき重要課題を特定し、5つのサステナビリティテーマを策定しており、その内の1つが環境負荷の削減をテーマとした「環境・資源への配慮」です。現在、火急の社会課題となっている気候変動は、異常気象による介護事業所及び保育施設への被害やヒートストレスを起因とした労働生産性やサービスクオリティの低下など、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性もあると考えています。
ソラストグループは、長期環境目標として、温室効果ガス排出量(注1)を2030年度に排出原単位70%削減(2021年度比)(注2)、2050年度までに実質ゼロ(注2)とする目標を策定しました。なお、事業規模の継続的な拡大に伴い、ソラストグループ全体の温室効果ガス総排出量(注1)は2030年度に30%削減(2021年度比)(注3)を見込んでいます。また、温室効果ガス排出量は、省エネルギー及びエネルギー転換等による削減の取り組みを進めた上で、残る排出量を透明性の高い方法でオフセットすることを計画しています。
- 2030年目標:
-
温室効果ガス排出原単位 △70%(FY2021比)
温室効果ガス総排出量 △30%(同上)
- 2050年目標:
-
排出原単位及び総排出量でカーボンニュートラル達成
- 対象:ソラストグループ(連結)の自社排出(Scope1、Scope2)
- 排出原単位:t-CO₂/拠点数。今後、より適切な定義に基づいた算出が可能となった場合には見直す可能性があります。
- ソラストグループは、2030年度までに連結売上高3,000億円(2021年度比2.6倍)を目指す「2030年数値目標」を掲げており、ソラストグループ全体の温室効果ガス排出量の削減目標は「2030年数値目標」の達成を前提に試算したものです。ソラストグループは、介護事業を中心にM&Aを積極的に推進しており、それに伴いソラストグループ全体の温室効果ガス排出量が増加基調となることを前提としています。
TCFDの提言に基づく情報開示
ソラストグループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が2017年6月に公表した提言への賛同を表明しています。また、賛同企業や金融機関が議論する場であるTCFDコンソーシアムに加盟しています。
G20からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立。気候変動によるリスク及び機会が経営に与える財務的影響を評価し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示することを推奨しています。
企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげる取り組みについて議論する場として、2019年に設立。TCFD提言に賛同する企業や金融機関等が取り組みを推進しています。
ガバナンス
気候変動に係る重要事項は、ソラストグループの業務執行に関する重要事項を協議、決議する機関として設置している経営会議で議論の上、定期的に(年に1回以上)取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制としています。取締役会は、気候変動に関する課題への対応を含む重大な方針、目標値等については、自ら決定します。また、ESG課題の具体的な取り組み、開示等の推進や実行支援の役割を担う機関として、CFOを長とするESGプロジェクトを設置しています。
戦略
新たな気候政策を導入しない場合には、世界の温室効果ガスが現在よりも増加し、「世界的な平均気温が4℃上昇するというシナリオ」が社会に及ぼす影響は甚大であると認識しています。そのため、脱炭素化を進展させ、パリ協定の目標である気温上昇を2℃未満に抑制する取り組みへ貢献していくことが企業の責務であると考えています。 ソラストグループでは、気候変動がソラストグループの事業及び財務に与えるリスク・機会とその影響度を把握し、長期数値目標の設定年度である2030年度を想定した戦略のレジリエンスと対応の必要性の検討を目的にシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)が公表する複数のシナリオを参照したうえで、「2℃未満シナリオ」と「4℃シナリオ」という2種類のシナリオを想定しています。
シナリオ | 環境認識 | 名称 |
---|---|---|
4℃シナリオ | 省エネ・再エネに関する抜本的な政策転換が起こらない | IPCC(注1)RCP8.5(CO₂排出量が最大化した場合のシナリオ) 等 |
台風やサイクロン等の異常気象が激甚化し物理的リスクが高まる | ||
2℃未満シナリオ | 省エネ・再エネに関する政策転換や技術革新が進展し規制も強化 | IPCC RCP2.6(2℃以下目標の場合のシナリオ) IEA(注2)B2DS(パリ協定に基づく持続可能な場合のシナリオ) 等 |
4℃シナリオほどではないが異常気象等による物理的リスクは現在よりも増加 |
- 対象:ソラストグループ(連結)の自社排出(Scope1、Scope2)
- IEA(国際エネルギー機関)
シナリオ分析の結果、「2℃未満シナリオ」においては、主に炭素税の導入による税負担の増加等により、ソラストグループ全体に一定の影響を及ぼすことが予想されます。「4℃シナリオ」においては、事業・財務に大きな影響を与える事象は想定されず、ソラストグループ全体への影響は軽微であると予想されます。いずれのシナリオにおいても、中長期視点で戦略のレジリエンスを強化していくため、リスクに関しては適切な回避策を策定する一方、機会に関しては、新たな成長機会としてとらえてまいります。
項目 | 4℃シナリオ | 2℃未満シナリオ | |||
---|---|---|---|---|---|
事業影響 | 財務 影響 |
事業影響 | 財務 影響 |
||
移行 リスク |
炭素価格 | ・電力価格や原油価格等のエネルギー価格の高騰 | 小 | ・電力価格等のエネルギー価格の高騰 | 小 |
– | – | ・炭素税の導入による税負担の増加 | 中 | ||
各国の炭素排出目標/ 政策 |
– | – | ・省エネルギー、再生可能エネルギー活用等を考慮した脱炭素化前提での事業運営コストの増加 | 未 | |
物理的 リスク |
平均気温の上昇 | ・ヒートストレスを起因とした労働生産性の低下による事業収益の減少及び残業の増加 | 未 | ・ヒートストレスを起因とした労働生産性の低下による事業収益の減少及び残業の増加 | 未 |
・高齢者の熱関連死の増加による事業収益の減少 | 未 | – | – | ||
・空調使用の増加による電力コストの増加 | 小 | ・空調使用の増加による電力コストの増加 | 小 | ||
・感染症の増加や新たなパンデミックの発生による事業収益の減少及び対策コストの発生 | 未 | ・感染症の増加や新たなパンデミックの発生による事業収益の減少及び対策コストの発生 | 未 | ||
異常気象の激甚化 | ・豪雨・台風等の異常気象による施設への被害の増加、損害保険料及び修繕費の増加 | 未 | ・豪雨・台風等の異常気象による施設への被害の増加、損害保険料及び修繕費の増加 | 未 | |
機会 | 各国の炭素排出目標/ 政策 |
– | – | ・脱炭素化前提での事業運営コスト増加により業界の収益性が悪化することでM&Aマーケットが活発化 | 未 |
- 大:当社グループの財務への影響が大きくなることが想定される(利益への影響が概ね年間3%以上)
- 中:当社グループの財務への影響が一定水準発生することが想定される(利益への影響が概ね年間1~3%未満)
- 小:当社グループの財務への影響が軽微であることが想定される(利益への影響が概ね年間1%未満)
- 未:当社グループの財務への影響を現時点で定量化することが困難
リスク管理
ソラストグループは、グループの事業が気候変動によって受ける影響を把握し、評価するため、シナリオ分析を行い、気候変動に関するリスク及び機会を識別、特定及び評価しています。
特定したリスク及び機会はESGプロジェクトの下、全社戦略策定及び個別事業運営の両面で管理しています。特に重要なリスクは、リスク管理基本規程に基づき、リスクの低減及び発生を未然に防止する観点から、ソラストグループの総合的リスク管理機能を担うリスク・コンプライアンス委員会と連携を図り、適切に管理しています。
また、企業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因、各取り組みの進捗状況や今後のリスク、機会等の内部要因を踏まえて、戦略や施策の見直し等を検討していきます。
指標と目標
ソラストグループは、温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)を2030年度までに排出原単位70%削減(2021年度比)、ソラストグループ全体で30%削減(2021年度比)すること、そして、2050年度カーボンニュートラルの実現を目標に取り組みを推進しています。
ソラストグループは、2030年度までに連結売上高3,000億円(2021年度比2.6倍)を目指す「2030年数値目標」を掲げており、その達成に向けて介護事業を中心としたM&Aを積極的に推進しています。介護事業のM&Aによりソラストグループが運営する介護事業所数は長期的に大幅に増加することを見込んでおり、それに伴い、ソラストグループ全体の温室効果ガス排出量も増加基調を辿ることが想定されます。そのため、ソラストグループでは、拠点あたりの温室効果ガスを削減する省エネルギー化の取り組みに加えて、使用するエネルギーの総量が増加しても温室効果ガス排出量を削減する仕組みとして再生エネルギーの活用拡大にも取り組むことが重要であると考えています。
(単位:t-CO₂)
項目 | 2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
2030年度 目標(注2) |
2050年度 目標(注2) |
---|---|---|---|---|
Scope1 | 3,449 | 3,496 | – | – |
Scope2 | 14,926 | 17,057 | – | – |
温室効果ガス排出量(Scope1+2) | 18,375 | 20,552 | 30%削減 | 実質ゼロ |
Scope3 | 6,276 | 6,802 | – | – |
温室効果ガス排出量(Scope1+2+3) | 24,651 | 27,354 | – | – |
温室効果ガス排出原単位(Scope1+2)(注3) | 30.2 | 29.5 | 70%削減 | 実質ゼロ |
- 対象:ソラストグループ(連結)の自社排出(Scope1、Scope2)
- 目標は2021年度対比
- 排出原単位:t-CO₂/拠点数。今後、より適切な定義に基づいた算出が可能となった場合には見直す可能性があります。
- Scopeの定義は次のとおり
- 社用車等のガソリン使用による直接排出
- 拠点での他社から供給された電力・ガスの使用に伴う間接排出
- Scope1、Scope2以外の間接排出
(全15カテゴリのうち「5.事業から出る廃棄物」、「7.雇用者の通勤」が対象)
環境に関する取り組み事例
ソラストグループは全国で600拠点を超える介護事業所を運営しています。それらの全ての事業所において、省エネルギー施策の実施(LED導入、空調機器入替)や再生可能エネルギーの活用を推進しています。
2022年11月1日(火)にオープンした「グループホーム ソラストさいたま見沼」は「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」に照らし合わせた場合、4つ星相当(省エネルギーを5段階の星で評価)で、現行の省エネ基準より一次エネルギー消費量を16%程度削減できる見込みです。さらに、太陽光パネルの設置により、CO₂排出量は当社既存のグループホームと比較し12%程度の削減が期待されています。